研究課題/領域番号 |
20K01852
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
目代 武史 九州大学, 経済学研究院, 教授 (40346474)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | リアルオプション思考 / 環境技術 / 電動パワートレイン / 設計ルール / 不確実性 / 特許分析 / 戦略的柔軟性 / 自動車産業 |
研究開始時の研究の概要 |
金融オプション理論から発展してきたリアルオプションは、不確実性下における戦略的意思決定に柔軟性を持たせるアプローチとして有益な示唆を与える。一方で、製品開発や工場建設といった実資産への投資では、オプション価値の算出に必要なデータが必ずしも利用可能ではなく、実践への応用にはなお多くの課題が存在する。本研究の究極の狙いは、リアルオプションの理論と実践との間にあるギャップを埋めることにある。具体的には、本研究の目的として(1)オプション構造を現実の技術開発戦略に構築するための方法と条件、(2)組織がオプションの評価および行使を適切に行うための過程と条件、を明らかにすることにある。
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研究実績の概要 |
本年度は、戦略的柔軟性を実現するための前提となる実物資産へのオプション構造の織り込みに関する「オプション構造化プロジェクト」に関して、自動車メーカーにおける電動パワートレイン(電動PT)の研究開発動向を調べるため、前年度に引き続き特許分析に取り組んだ。特許の出願領域を特許に付与されたIPCコードに基づき分類するとともに、特許の後方引用及び前方引用のデータを収集した。統計解析言語Rに付属するigraphパッケージを用いて、引用ネットワーク解析に取り組んだ。分析結果は現在、学会報告および論文投稿に向け整理中である。 また、年度後半から新型コロナ禍に伴う行動制限が緩和されたことから、2023年3月6日から15日までドイツにて現地調査を行った。電動PT導入に伴う生産側の取り組みと課題を把握するため、ZFの電動ユニット工場、VWのバッテリーシステム工場、ダイムラートラックの本社工場を訪問し、工場見学と担当マネジャーへの聞き取り調査を行った。その結果、VWにおいては、バッテリーシステムをモジュラー化し、電池容量を柔軟に変更できる仕様としていることが確認できたが、製造面での柔軟性に課題を抱えていることが明らかになった。また、欧州においてはZFのような外部のエンジニアリング企業の活用が自動車メーカーの戦略的柔軟性を確保する手段となっていることも確認できた。ドイツ調査の結果は、現在調査ノートを分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「オプション構造化プロジェクト」については、特許の検索方法やRを用いた引用ネットワーク分析の手法にも習熟してきている。しかし、分析を取りまとめる理論的枠組みの見直しに手間取っていることが、研究成果の取りまとめの遅れにつながっている。 一方で、新型コロナ禍に伴う行動制限が緩和され、企業の訪問調査を再開することができた点は明るい材料である。しかし、2022年度中は国内については訪問調査の受け入れにまだ慎重な企業もまだあり、むしろ海外での企業調査が先行した。文献研究や特許データ分析から得られた仮説をさらに発展させるため、さらなる企業訪問調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、「オプション構造化プロジェクト」については、各社のアニューあるレポートや中期経営計画、その他のプレスリリースなどのアーカイバルデータに加え、特許データを用いた定量分析を進める。電動PTの選択肢をイベントツリーの形で整理し、特許の出願状況と照合することで各社の研究開発戦略を分析していく。 また、これまで制限されていた企業調査をより積極的に行っていく。幸い、2022年度中に企業数社への訪問調査を再開できたため、これを足掛かりにPT電動化戦略に関する聞き取り調査を拡大していく。 研究成果は、国内外の学会(組織学会、日本経営学会、Gerpisaなど)で研究発表を行うとともに、International Journal of Automotive Technology and Management誌などの国際専門誌への投稿を目指す。
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