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日本企業のイノベーションにおける専有可能性問題の変容に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01881
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07080:経営学関連
研究機関九州大学

研究代表者

永田 晃也  九州大学, 経済学研究院, 教授 (50303342)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワードイノベーション / 専有可能性問題 / 特許 / 模倣ラグ / 技術機会 / 専有可能性 / 特許制度
研究開始時の研究の概要

企業が自ら実現したイノベーションから、その利益をいかにして回収することができるかという問題は「専有可能性問題」と呼ばれている。専有可能性は、イノベーションに対する企業のインセンティブを理解する上で鍵となる概念である。本研究では、専有可能性問題が1990年代後半以降の日本企業においてどのように変容してきたのかを調査・分析することにより、イノベーションの収益率を改善させるための経営課題を明らかにしようとするものである。

研究実績の概要

前年度までの間に、当初計画通り文部科学省科学技術・学術政策研究所が2020年度に実施した「民間企業の研究活動に関する調査」に、94年イノベーション調査の結果と比較可能な調査項目を登載してもらうことにより所要のデータを取得し、その分析結果を同研究所の報告書として発表した後、両調査時点間での比較分析の結果を行い、同研究所のディスカッション・ペーパーをはじめとして、学会発表、ジャーナル論文等の形で発表してきた。本年度は、上記ディスカッション・ペーパーの英語版を作成するとともに、新たな論文投稿に向けて分析を深め、平均値については標準誤差等の記述統計を併記したグラフを作成するなどの準備を行なった。
これまでの分析により、日本の製造企業においては、過去四半世紀の間に各種の専有メカニズムの有効性が顕著に減退し、利益の専有可能性が低下したこと、自社のイノベーションを他社が模倣するまでの時間(模倣ラグ)はかなり長期化したこと、技術機会を提供する情報源として大学や公的研究機関の重要性が増大する一方で、情報源としての競合他社の重要性が低下したことなどを明らかにしてきた。本年度の分析では、模倣ラグが長期化したにも関わらず、専有メカニズムとしての先行的な市場化(リードタイム)の有効性が減退しており、しかも情報源としての競合他社の重要性が低下しているという一見矛盾した分析結果に着目し、そもそもイノベーションがもたらす利益の規模が小さくなったために潜在的なイミテーターに対する模倣のインセンティブが働かなくなったという解釈の妥当性を検証した。また、一連の分析を産業別に実施することにより、上述した変化の程度は産業によって異なる点を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度まで当初計画通りに研究を進展させてきたが、2023年度に研究代表者に発生した事情から研究の遅延を余儀なくされたたため、本研究課題の実施期間につきJSPSに1年の延長を申請し、承認を受けた。
この間、研究成果の発表も計画的に進めてきたが、予定していた国際ジャーナルへの投稿などが完了していないことから、今後のレビューにおいて追加的な分析が必要となる可能性がある。そのため2020年度「民間企業の研究活動に関する調査」個票データの二次利用期間についても1年間の延長を文部科学省に申請したところ承認を得ることができた。これにより今後投稿する論文が査読を受ける過程で追加的な分析が要請された場合に、対応することが可能になった。

今後の研究の推進方策

本研究を進める過程で、1990年代以降、イノベーションの機会は産業の枠を超えた機能・サービスの結合に見出されるようになり、これに伴って最早イノベーションの専有可能性を確保することは企業の組織内部に閉じられた課題ではなく、産業横断的なコミュニティを単位とする問題になっているという着想を得ることになった。この着想を発展させて新たに2024年度基盤研究(C)に申請した課題「イノベーション・エコシステムにおける専有可能性問題の構造分析」が採択されている。このため、2024年度は、新規課題と延長により当年度が最終年度となった本研究課題を並行して進めることになるが、本研究課題については当初計画でのリサーチ・クエスチョンに明確な結着を与える形で成果の最終的な取りまとめを行い、両研究課題の問題意識における差異と承継関係を示せるようにしたい。
最終年度は、「研究実績の概要」に記述した解釈を多角的に検証するための計量分析を行うとともに、これを質的に裏づけるためのケーススタディないし小規模な追跡的質問票調査の実施を検討する。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Changing Appropriability Conditions and Technological Opportunities of Innovation in Japan; 1994-20202024

    • 著者名/発表者名
      Akiya Nagata, Akira Goto, Koichiro Ohnishi
    • 雑誌名

      NISTEP Discussion Paper

      巻: 210 ページ: 3-43

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本の産業におけるイノベーションの専有可能性と技術機会の変容;1994-20202022

    • 著者名/発表者名
      永田晃也、後藤晃、大西宏一郎
    • 雑誌名

      文部科学省科学技術・学術政策研究所DISCUSSION PAPER

      巻: 210 ページ: 1-36

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] イノベーションの収益性は低下したのか-サーベイデータによる専有可能性と技術機会の時点間比較2022

    • 著者名/発表者名
      永田晃也
    • 雑誌名

      STI Horizon

      巻: Vol.8, No.4 ページ: 50-55

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 民間企業の研究活動に関する調査報告20202021

    • 著者名/発表者名
      文部科学省科学技術・学術政策研究所第2研究グループ
    • 雑誌名

      NISTEP REPOST

      巻: 191 ページ: 1-207

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 特許によるイノベーションの専有可能性はいかに変化したか:サーベイデータによる1994年-2020年の時点間比較2022

    • 著者名/発表者名
      永田晃也
    • 学会等名
      日本知財学会第20回年次学術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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