研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、人事評価における数値化及び測定が組織の実践としていかにして行われているのかを明らかにすることである。人事評価における測定の問題は、測定基準や測定方法、結果が従業員に与える影響を明らかにしてきた。しかしながら、様々な価値観や利害を持った人間、さらに近年注目されるHRテクノロジーをはじめとした様々な技術との関係性の中で行われる実践として人事評価を捉えた研究は少ない。そこで本研究では、価値評価研究という枠組みに依拠し、人事評価における数値化と測定の実践に関して、評価・数値化の基準がいかに決定されるのか、数値化・測定が組織においてどのように実行されるのかの2点を明らかにしていく。
本研究の目的は、人事評価における数値化及び測定が組織の実践としていかにして行われているのかを、価値評価研究の視点から明らかにすることである。特 に、人材の評価の「実践」を捉える分析視角として価値評価研究に依拠し、人事評価における数値化と測定の実践に関して、評価・数値化の基準が組織において いかに決定されるのか、数値化・測定がどのように実行されるのかの2つの研究課題を明らかにするものである。 当該年度(2023年度)における研究の実績としては、人事評価制度改革をおこなっている企業のインタビュー調査に基づいて、人事評価の基準設計の問題を価値評価研究の分析視角によって捉え直す論文が公刊された(陰山・矢寺、2023)。上記の研究実績は、本研究の研究課題である価値評価研究に依拠した分析枠組みに基づいて、人事評価の数量化・測定を明らかにしたものである。本論文では、人事制度改革にともなって人事評価の基準がどのように変化させてきたのか、数値化され明確化された人事評価基準によって、評価される側の従業員の行動がどのように変化したのかについて記述している。具体的に、当該企業においては、企業が重視する「コア・バリュー」に基づいて設定された評価基準が従業員にとっての価値ある行動をフレーミングすると同時に、コア・バリューにそぐわない行動がオーバーフローとして現れる。このオーバーフローへの対処として、さらなる評価基準の変更を導くといった、基準の変化のダイナミズムを提示した。ただし、本論文において、価値評価研究の分析枠組み、および人事評価における評価基準に関する専攻研究に触れてはいるものの、体系的なレビューとしてまとめることができておらず、今後これらをまとめた上で、さらなる経験的調査を実施する必要がある。
3: やや遅れている
当該年度中の計画として、価値評価研究、および人事評価における評価基準に関する先行研究のレビューを計画していたが、両レビューは部分的には行われているものの、レビュー論文としての公刊には至っていない。したがって、研究の達成度として は「やや遅れている」と評価する。なお、研究期間の延長にともなって、上記のレビュー論文の完遂、および追加の経験的調査を今後行う予定である。
2024年度の研究推進としては、まず価値評価研究および人事評価における評価基準に関する研究の先行研究のレビューを論文としてまとめる。さらに、両研究領域に関するレビューに追って生じるであろう新たな研究課題について、追加的な経験的研究を検討する。経験的研究に関しては、フィールドワークを念頭に置きつつ、アーカイバルデータ分析などその他多様な方法も検討し実施していく。
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