研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、人事評価における数値化及び測定が組織の実践としていかにして行われているのかを明らかにすることである。人事評価における測定の問題は、測定基準や測定方法、結果が従業員に与える影響を明らかにしてきた。しかしながら、様々な価値観や利害を持った人間、さらに近年注目されるHRテクノロジーをはじめとした様々な技術との関係性の中で行われる実践として人事評価を捉えた研究は少ない。そこで本研究では、価値評価研究という枠組みに依拠し、人事評価における数値化と測定の実践に関して、評価・数値化の基準がいかに決定されるのか、数値化・測定が組織においてどのように実行されるのかの2点を明らかにしていく。
本研究の目的は、人事評価における数値化及び測定が組織の実践としていかにして行われているのかを、価値評価研究の視点から明らかにすることである。特に、人材の評価の「実践」を捉える分析視角として価値評価研究に依拠し、人事評価における数値化と測定の実践に関して、評価・数値化の基準が組織においていかに決定されるのか、数値化・測定がどのように実行されるのかの2つの研究課題を明らかにするものである。当該年度(2022年度)における研究の実績は以下の3点である。第一に、前年度の学会報告(浦野・櫻井・矢寺, 2021)をもとに、正当化の理論と制度ロジックの分析視角からアーカイバルデータの内容分析を行い、日本企業の人的資源管理施策の変遷を捉える論文執筆に取り組んだ。しかし、これについては遅れが生じ現在も執筆中である。第二に、人事評価制度改革をおこなっている企業1社のインタビュー調査を行った。調査結果は、人事評価の基準設計の問題を価値評価研究の分析視角によって捉え直す論文として現在執筆中である。第三に、組織における公式の評価制度と非公式に行われる評価としての評判の異動に関する論文が公刊された(服部・矢寺・新井、2022)。上記の研究実績は、本研究の研究課題である人事評価の数量化・測定をとらえる分析枠組みの構築を進めるものとなったが、論文として公開されるには至っていない。また、上記の研究に加えて、人事評価における数値化の実践を捉えるためには、さらなる理論的検討と経験的調査が必要となる。
3: やや遅れている
当該年度中の計画として、研究レビューと経験的調査の方策として、フィールドワークの可能性の探索と代替手段としてのアーカイバルデータの分析を行うことを予定していた。経験的調査については着手できてはいるものの、学内業務の増加等の理由により論文執筆が遅れ公刊に至っていないため、研究の達成度としては「やや遅れている」と評価する。
2023年度の研究推進としては、まず現在執筆中の論文を提出し公刊することを目指す。また、同時に行われている価値評価研究、人事評価関係の研究に関する先行研究のレビューをさらに進めるとともに、2022年度と同様に、フィールドワーク、アーカイバルデータの分析、その他多様な方法を検討しながら経験的調査を実施していく。
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経営行動科学
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日本情報経営学会誌
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130007907127