研究課題/領域番号 |
20K01914
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
出口 将人 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40305553)
|
研究分担者 |
柴田 淳郎 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10437452)
伊藤 博之 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (20242969)
山田 幸三 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240014)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 経営学 / 産業集積 / 事業システム / 組織間関係 / 社会的情緒資産 / 地域起業家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の代表的な漆器産地(山中、輪島、金沢、会津、越前、紀州)を対象とした実地調査などから得られたデータをもとに、長期間にわたって存続、発展を遂げてきた伝統的な地場産業における個々の産地の事業システムの多様性と、そうした多様な事業システムのあいだの関係にフォーカスし、それらがいかにして個々の産地および産業全体の存続、発展に寄与してきたのかを明らかにする。さらにそれをふまえて、今後のわが国の伝統産業の存続、発展を支えるための、産地内、産地間のそれぞれのレベルでの競争と協調のあり方、具体的には、それらの根底にあって個々の産地と産業全体の存続と発展を可能にする要因について考える。
|
研究実績の概要 |
福井県鯖江市、和歌山県海南市、石川県加賀市山中という三つの日本の代表的な漆器産地を対象として、各産地内の主要なプレーヤーである問屋、生産者、商工会議所、組合の関係者に聞取りを中心とした現地調査をおこない、その成果として以下の二点を発表した。 一つは、鯖江産地にかんする事例研究論文である。そこでは、近代以降2度にわたって大きな環境変化に直面し、それに対応して変革を実現した(しつつある)鯖江産地の事例をもとに、環境変化の性質と産地変革のパターン、とりわけ変革をリードする企業家の属性、役割や行動、変革が伝播するプロセスとの関係について仮説発見的な議論をおこなった。 もう一つは、山中産地にかんする事例研究論文である。そこでは、地域の老舗企業(職人)の企業家的な取りくみにフォーカスし、それにかかわる動機づけ、課題やそれにたいする対応を明らかにしたうえで、そうした取りくみが一企業のみならず、それが位置する産地全体の変革や存続、発展にどのように関係しうるのかを論じた。 これらの個々の産地の事例にもとづく研究成果をふまえ、環境変化の性質との関わりや地域の企業家の役割という観点を加えつつ、産地間比較をおこなうことで産地の存続、発展のメカニズムを明らかにするという今後の調査分析の方向性をえた。この点に関しては、現時点においては具体的な成果としてまとめられていないものの、残された期間での分析も含め、今後の研究テーマの発展にも資するものであり、研究実績の一つといえると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、すでに二度にわたって研究期間を延長したこと、また昨年度(23年度)から本格的に現地調査を進めることができたため、2年遅れではあるが、ようやく当初想定していた研究計画に追いついてきた。 一方、当初調査対象の候補としていた産地のうち、調査協力にかんする依頼および交渉の結果、全く協力がえられなかった産地、協力の取りつけにやや時間を要した産地があるため、その分で若干の遅れが生じている。ただし、前者については調査を断念し、後者についてはすでに調査を進めているので、それほど大きな問題にはならないと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には、これまでの個々の産地にたいする調査分析によってえられた知見を比較することで、本研究課題の結論として、産地の存続、発展を可能にする事業システムの多様性を産地や環境変化の特質とのかかわりにおいて明らかにすることが今後の課題となる。 すでに現地調査などによって必要なデータはほぼ集まっており、今後はそれらについての研究チームのメンバーによるディスカッションをおこない、そこで生じた疑問等について必要に応じて追加調査をおこないながら、この課題にかんする研究論文の執筆を進める。
|