研究課題/領域番号 |
20K01932
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
大石 直樹 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (00451732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 総合商社 / 組織デザイン / 商品取引 / 外国売買 / ネットワーク / 人的資源配分 / 組織の進化 / グローバルネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国内外の市場において、膨大な種類に及ぶ商品取引の遂行するために張り巡らされたネットワークをもつ総合商社が、直面するリスクを、いかにしてマネジメントしながら、同時に、取扱商品や進出エリアの増大に伴う膨大な費用を抑えることで、どのようにして巨大なネットワーク組織を管理する仕組みを構築しながら、効率かつ安定的な商品取引を実現していたのかを、戦前の二大商社である三井物産と三菱商事が選択した異なる2つの方法に注目しながら、それぞれの組織のあり方について解明するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、国内外の市場において膨大な種類に及ぶ商品取引を遂行するために張り巡らされたネットワークをもつ総合商社が、直面するリスクを、いかにしてマネジメントしながら、同時に、取扱商品や進出エリアの増大に伴う膨大な費用を抑えることで、どのようにして巨大なネットワーク組織を管理する仕組みを構築しながら、効率かつ安定的な商品取引を実現していたのかを、戦前の二大商社である三井物産と三菱商事が選択した異なる2つの方法に注目しながら、それぞれの組織のあり方について解明するものである。 当該年度は、戦前期の総合商社の発展において、輸出・輸入および国内取引といった一般的な形態とは異なる、日本を介さない地域間での直接的な商品取引である「外国売買」について調査を行った。ここでも、問題関心は、二大商社の権限関係および組織的なリスクテイクのあり方に規定される形での「外国売買」の比較研究であり、支店における権限のあり方の違いが、支店間での取引に、いかなる影響をもたらしたのかを検証する作業を行った。 研究成果は、「戦前期における三菱商事と外国売買」(『三菱史料館論集』第25号、163-183、2024年3月、大島久幸との共著)として論文にまとめた。論文の主要な論点としては、第1に、第一次世界大戦後、それまでのロンドンを中核とする世界的な貿易システムが変容していく過程において、三井物産、三菱商事を含む日本の商社が、積極的な役割を果たすべく外国売買を進めたこと、第2に、当初は三井物産のシェアが高かった「外国売買」に対して三菱商事が急速なキャッチアップを見せ、外国売買をめぐる激しい商社間競争が展開したこと、そして第3に、三菱商事が外国売買で急進した理由としては、商品取引におけるリスクのあり方の変容、具体的には、思惑を伴わない形での商品取引の遂行方法の模索を通じた、外国売買への積極的な参入が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で、商社の資料を所蔵する海外での資料調査が引き続き困難な状況であるため、当初の予定通りのスケジュールで実施する事が出来なかった。たとえば、戦前の日本の商社の支店資料を所蔵しているアメリカ国立公文書館(アーカイブズⅡ)での資料調査が、閲覧者の利用制限の継続のため、実質的に実行不可能となっている状態は変わらず、また、本研究の推進にとって重要となる三菱商事・三井物産のオーストラリア支店の資料を所蔵する国立公文書館つくば分館の運用方針が変更したことに伴い、同館での所蔵資料の調査が行い得なくなった。 そのため、資料調査に関して予定したスケジュールよりは遅れているが、その他の国内の機関での調査を中心に研究を進めた。2023年度に進めた研究の主要なトピックスとしては、 (1)三菱商事の組織デザインの骨格である各種ルールによって構成される組織編成原理に関する研究(2)両社それぞれの組織デザインに規定された商品取引の展開の研究(3)両社の商品取引の特徴が、それぞれの組織デザインをいかに反映するかたちで展開されたのかに関する比較分析を外国売買を対象に行った。また(4)総合商社の組織デザインの特徴を明らかにする上で比較対象としている専門商社の組織デザインについても分析を着手した。具体的には、三井物産から分離独立した東洋棉花と日本綿花の2社について、組織編成原理と人的資源配分の分析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、戦前日本の総合商社を、グローバルネットワークと見做し、その編成原理を明らかにすることで、リスクの高いビジネスをいかにマネジメントしながら、ネットワークを管理し、機能させていたのかを解明することであり、主要な商社の比較分析を行うこととなる。 これまでに、戦前期の2大商社である三井物産と三菱商事の組織デザインの骨格部分に関する比較分析を進めたため、今後は専門商社の組織デザインを分析することで、総合商社の組織デザインの特徴を、より体系的に明らかにしていく作業を進めていく予定である。具体的には、三井物産から独立した東洋棉花と日本綿花を分析対象に加えることによって、総合商社と専門商社の経営組織・経営行動を比較する分析を進める。 次年度は、研究期間の最終年度であるため、日本および海外での資料調査を行い、これまでの研究で明らかになった成果を集約した論文の執筆も行う予定である。
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