研究課題/領域番号 |
20K01958
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
宮本 琢也 久留米大学, 商学部, 教授 (70549683)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 研究開発組織 / コーポレートガバナンス / イノベーション / 技術革新 / 両利きの経営 / 周辺技術 / 技術と人 / 技術革新と組織 / 経営戦略 / 技術転換 / 技術経営 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで新旧技術の転換期において,旧技術を扱う既存企業と新技術に参入する新興企業の長所と短所を問う議論が活発に行われてきた。既存企業は,新技術への変化に対応しきれないという指摘もある一方で,旧技術で培ってきた組織能力と外部資源を戦略的に活用したり,組織内のプロセスを変革することで新技術にも対処できるという指摘がある。ただし,これまでの研究は,技術変化の程度を曖昧な概念で捉えてきたため,どのような技術変化に対し,戦略的・組織的要因としては何が求められるのかという点への考察が十分ではなかった。本研究は,技術変化と戦略的・組織的要因を紐づけながら既存企業による技術転換期のマネジメントを論じる。
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研究実績の概要 |
当該年度においては、電池・電力(含:省エネ・電源管理)の分野で欧州でも有数の研究機関について、資料の収集とフィールドワークを行いつつ、日本の研究開発組織にはないユニークな特徴について調査した。 この研究機関は、従業員が所有するという特殊なコーポレートガバナンス上の特徴がある一方で、研究機関としては数多くの技術転換に対処し、ある意味で両利きの経営を実践してきたと考えられる。なお、同機関の研究開発の時間軸としては、中長期の研究開発を得意としている。一連のガバナンス上の特徴やマネジメント上の特徴が、技術転換にどのようにつながっているのかという点を中心に分析を行った。 なお、その成果の一部は、大学の紀要にて既に公表しているが、次年度に海外学会での報告を行う予定である。現時点では、かつて日本の企業が得意としてきた従業員重視の経営が、時間と空間を超えて現在も続いている組織があるという点では大きな発見事実であった。ただし、成長期と苦境期では異なる力学が働いている。成長期と苦境期では異なる力学という点は、通常の一般企業でも見受けられる特徴ではあるものの、同機関が所属する労働者協同組合では特殊なガバナンスゆえに切実な影響が考えられる。 従業員が所有するというガバナンスは、従業員重視の経営にもつながり、中長期の視点を持つという意味では、技術転換への対処へつながりやすい長所がある一方で、ガバナンス上の短所があるという点も含めて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究成果としては、本プロジェクトの初期段階からの遅れを引きずった形で遅れが生じている。リサーチサイトの変更も含めて若干の軌道修正を行いながら研究を進めているのが現状である。 軌道修正という点では、当該年度に、コーポレートガバナンス上特徴のある企業の研究開発組織について研究する機会を得た。そこで、従業員重視・中長期志向・従業員の自律性の高いという特徴をもつ組織においては、どのように研究開発が進み、どのようなイノベーションを得意とするのかという点を大まかに把握することができた。 このリサーチサイトは海外の研究開発組織であるが、これを深めつつ、他の地域の研究開発組織、そして日本国内との研究開発組織との比較をすることで一定の成果が見られると考えられる。 このような軌道修正を踏まえたうえで進めてきた研究については進捗があり、次年度に海外学会での報告が決まっているなど、一定の成果も見え始めている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は、既述の研究開発組織についてさらに資料を収集し、分析しつつ、海外学会で報告を行いながら分析の精度を高めていく予定である。 当該年度に見出した点としては、コーポレートガバナンスが研究開発のマネジメントにも大きな影響を及ぼしているという点であるが、これが技術転換への対処行動にどのような影響があるのかという点をさらに深めていく。特に、理論的にも議論を深めるべく、コーポレートガバナンス、従業員重視、中長期志向といった特徴がどのようなロジックで技術転換のマネジメントにつながるのかを分析しつつ、その境界変数についても検討したい。 また、本研究の内容について関心を示している海外の機関もあることから、必要に応じて情報交換等の連携を深めていきたい。
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