研究課題/領域番号 |
20K01997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松下 光司 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (40329008)
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研究分担者 |
土橋 治子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (90333236)
齊藤 嘉一 明治学院大学, 経済学部, 教授 (50328671)
外川 拓 上智大学, 経済学部, 准教授 (10636848)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 東日本大震災 / 災害 / コントロール感 / 食の消費 / 存在論的恐怖 |
研究開始時の研究の概要 |
災害は、災害の当事者に人的・経済的損失、精神的被害を与えるだけではない。当事者以外の人々の心的状態や消費行動(とりわけ、食の消費)にも影響を及ぼす。本研究は災害後に食の消費(購買・調理・飲食行動)が増加する現象に着目し、それを災害によって喚起される死に対する恐怖心(存在論的恐怖)への対応行動として説明することを目指す。モデルの妥当性が東日本大震災当時のデータや実験によってテストされる。
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研究実績の概要 |
本研究は、災害によって喚起される心理状態に注目し、この心理状態が災害後に食の消費に与える影響を明らかにするものである。これまでの成果としては、2次データの初期分析が実施され、東日本大震災によって、「アルコール消費」と「調理に注ぐ努力」に影響があることが明らかになった(2020年度)。また、後者の「調理に注ぐ努力」に関する、文献レビューから、注目する主要概念が明らかになった(2021年度)。
2022年度は、2つの点を試みた。第1は、広範囲の2次データを検討し、データ利用が可能な状態となったことである。これまでは、ある企業のデータ(データセットAと呼ぶ)を用いていたが、そこには限界があった。データの限界を埋め、われわれの仮説の外的妥当性をより高めるためには、他の2次データを用いることでの仮説のテストも重要であると考えた。そこで、他のデータセットの利用可能性を模索した。その結果、レシピサイトの検索データの利用することが、データセットAの限界を補完できそうであることがわかった。企業への問い合わせの結果、おおむね研究目的での利用が可能であることが明らかになったので、今後、追加的な2次データの分析に入ってくことができる段階となった。
第2は、コントロール感(sense of control)のレビューである。コントロール感は、消費者行動研究において、さほど頻繁には用いられてこなかった概念である。ただし、消費者行動研究のトップジャーナル(Journal of Consumer Research)2021年では、中心概念として取り扱われるなど、徐々に注目度が高まっている。その研究も手がかりにしながら、コントロール感がいかなる内容をもち、いかなる役割を果たすのか、いかに測定できるのかなどをレビューした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度は、研究体制の変更があった。その体制変更と今後の研究体制を構築するために、多くの時間とエネルギーを費やしてしまった。そのため、新たな2次データの分析や、仮説をテストするための心理実験への取り組みへの着手が遅れてしまった。最終年度には、研究体制を整えたうえで、追加的な2次データの分析、実験を実施し、学会発表まで進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に、新しい研究体制にもとづきながら、3つの点に取り組むことになる。第1は、新しい2次データを用いた多面的な検討である。第2は、オンライン実験に取り組むことになる。オンライン実験では、架空のシナリオを用いて、2次データの結果を詳細に説明する心理メカニズムを多面的に検討することになる。この2つのアプローチを併用することで、妥当性の高いモデルのテストができるはずである。第3は、研究成果の発表である。最終年度には、国内の学会(消費者行動研究学会)での発表、および、国際学会(Society for Consumer Psychology)のカンファレンスへの投稿に積極的にチャレンジしていく。隣接する研究領域の学者からフィードバックを得ることで、学術雑誌への発表可能性を高めていく。
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