研究課題/領域番号 |
20K02002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2022-2023) 関西学院大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
須永 努 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (20438914)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 消費者行動 / マーケティング / 音楽 / コンテクスト効果 / 感覚マーケティング / クロスモーダル対応 / 実験心理学 / アート / semantec congruence / 音色 / マーケティング・コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では音の感覚の三要素(ピッチ;音の高さ、ラウドネス;音の大きさ、音色;音の質)を中心とする音響学的属性に焦点を当て、さまざまな音が消費者の広告反応、店舗評価、および店舗内購買意思決定へ及ぼす影響を明らかにする。本研究では音楽だけでなく、製品自体が発する音や、調理をする音など、環境に存在する音楽以外の音声も含めた背景音を研究対象とする。人は複数の異なる感覚からの情報を統合して環境を知覚しているので、心理学や認知神経科学の領域で膨大な研究蓄積がある感覚間相互作用についても考慮する。本研究を通じて、感覚マーケティングの更なる理論的発展と応用可能性の向上を目指す。
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研究実績の概要 |
最終年度の2023年度は、これまでに行ってきた研究の成果をまとめた。具体的には、得られた成果をマーケティング領域における世界最大の学会であるAmerican Marketing Associationの年次大会であるSummer Academic Conferenceで発表するとともに、論文にもまとめ、トップジャーナルに投稿した(現在査読中)。 研究期間全体を通して、①聴覚的刺激(楽器の音色)と視覚的刺激(質感、製品/パッケージの色、ブランド・ロゴ)の表現的一致(connotative congruence)が消費者のポジティブ感情や適切感(feeling right)を高め、それによって製品の評価や選択に正の影響が及ぼされること、②音楽の音高(ピッチ)による影響が、直前に接触した音楽(コンテクスト)の影響を受ける相対的なものであることを明らかにした。②では、直前により高い音高の音楽に触れていたか、より低い音高の音楽に触れていたかによって、同じ音楽でもそれぞれ「空間的に下降(spatially descending)している」、「空間的に上昇している(spatially ascending)」という異なる印象を与え、その結果、それぞれ暗い色、明るい色との連合が形成されるため、そのような色をした製品をより高く評価したり、より多く選択したりするようになることが明らかにされた。 ②の知見は、これまでクロスモーダル対応や音響心理学の研究において、主に単音を用いた実験結果に基づいてその可能性が指摘されていたが、本研究によってマーケティング、消費者行動の領域において初めて、より複雑な音楽という刺激を用いて実証された。この知見が、オンラインや実験室での実験に加え、カフェやレストランを用いた複数のフィールド実験によっても確認されたことは、学術的、実務的に極めて大きな意義をもつものと思われる。
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