研究課題/領域番号 |
20K02004
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
|
研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
金城 敬太 共立女子大学, ビジネス学部, 准教授 (20611750)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 多様性 / グラフニューラルネットワーク / 教育マーケティング / 公平性 / 系列データマイニング / カスタマージャーニー / マルチモーダル学習 / 因果効果の異質性 / 機械学習 / ダイバーシティ・マーケティング / 社会ネットワーク / 因果推論 / トロッコ問題 / プライバシー / 社会厚生関数 / 非合理的な意思決定 |
研究開始時の研究の概要 |
近年教育機関などにとって、多様な個人に教育の価値を伝えたり、教育方法を改善するために教育のマーケティングが重要となっている。そこで本研究では、これらの効果が個々人でどう異なるか、すなわち因果効果の異質性を推定し、さらにコストも考慮して最適なマーケティングを行う手法を提案する。またその際、教育などを扱う際に問題となっている、個人情報の保護や、個々人の間での公平性を担保する手法も考える。そのうえで、実験や調査データをもとに手法の有効性を検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、異質な個人に効果的で倫理的なマーケティングを行う方法に関し、理論および実証分析を通じて明らかにすることである。『理論』、『実証』、『応用』の3つで構成されている。本年度は、それぞれの観点から3つの研究を行った。 1.理論・実証研究では、前年度の理論研究の際に、倫理的に重要とされた「多様性」の応用を中心に展開した。具体的には、多様性の定義をネットワークの多様性に拡張して、それを用いて、グラフニューラルネットワークにおけるリンク予測のタスク(レコメンデーションなどに利用)に応用することを提案した。提案方法を実データに適用した結果、予測と多様性とを両立させる結果が得られた。 2.実証研究では、さらに今日のマーケティングで重要となっているカスタマージャーニーの分析に焦点をあてて、本研究の適用領域の拡張を検討した。具体的には、個々人の行動が系列データとなっている場合に、どのように調査や分析ができるかを検討した。結果として、カスタマージャーニーの調査方法を開発したほか、系列パターンマイニングやマルコフモデルを用いて分析できることを明らかにした。最後に、系列間の類似度を開発し、それを用いて購買の予測をすることも可能となった。こうした手法は、教育のマーケティングにおいて有効である。 3.それ以外の実証研究では、今日プロモーションの多くで利用される言語や画像、音声などマルチモーダルな情報を分析することで、本研究の適用領域の拡張を検討した。具体的には、邦楽などの売上の分析を目的に、歌詞という言語情報については今日発展している大規模言語モデルを用いて分析し、それ以外の音楽などの情報についても抽出し同時に分析を行った。これらの手法は、教育のマーケティングに有効であるほか、昨年まで開発した方法の拡張に繋がる。 1、2、3については国内の学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、主として『実証』、と『応用』についての検討を行う時期であった(計画書の(3)の②、③)。 『理論』(計画書の(3)の①)についても、進捗があり、以前開発した「類似性」と「ネットワーク」を考慮した多様性については追加で理論分析したうえで現在、論文を執筆中である。 『実証』(計画書の(3)の②)については、新たに調査のデータや収集データを用いた分析を4つ行った。 (i) 昨年開発した多様性の指標を、グラフニューラルネットワークにおけるリンク予測問題に適用するための実験を行った。(ii)発展として、カスタマージャーニーを分析するために、質問紙で各個人の行動を調査した。さらに、その結果を系列データとして扱うことで、系列パターンマイニングなどのデータマイニングなど一般的な方法、距離を用いた機械学習の手法を適用できることを明らかにした。(iii)発展として、マーケティングにおいて重要となっているマルチモーダルなデータを分析するための試論として、音楽の歌詞や音楽情報などのデータを用いた分析を行った。 『応用』(計画書の(3)の③)については、それぞれ国内の学会で4つの発表を行っている。 以上を鑑みて、本研究はおおむね順調に進展している。ただし、今回明らかになった調査方法や分析方法について大きな規模のデータで検証する必要性がでてきている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年に引き続き「実証」および「応用」(成果のまとめや社会への応用方法の考案など)を行う(計画書のフェーズ(3)の②および③)。具体的には下記のような研究を行う。 1.倫理的な因果効果についての応用の研究:以前、公平な政策効果(教育の効果)を把握する分析方法の開発も行ってきた。すでにインターネット調査を行い、データも取得している、これらの分析を行う予定である。また開発した方法をもとに他分野のマーケティングにも応用する予定である。その際に、必要に応じて調査や実験を追加する予定である。 2.多様性に関する新しい手法に関する実証研究:昨年開発したグラフニューラルネットワークやそれに多様性を組み込んだ研究をベースに、購買・学習行動のモデリングなどの拡張や調査なを行う予定である。 3.マーケティングにおける新しいデータの分析研究:本研究は、教育に関連するマーケティングの研究という側面もある。そこでは教育の介入の効果の際のデータを分析するために、マルチモーダルな言語や画像などの分析を行う。また、昨年開発したカスタマージャーニーの調査やその分析も検討している。
|