研究課題/領域番号 |
20K02009
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榎本 正博 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70313921)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 経営者交代 / 利益マネジメント / コーポレート・ガバナンス / 財務会計 / 会計情報 / コーポレートガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
経営者交代は経営者を規律付けるコーポレート・ガバナンスの仕組みとして経営者報酬とならび重要な機能を果たしている。本研究は,コーポレート・ガバナンス機構が変容するもとで,経営者が交代時に利益マネジメントを通じて会計情報の質にどう影響を与えるかを調査し,そこから経営者が実施する会計実務の背後に存在する規則性の推移を解明することにある。
|
研究実績の概要 |
本年度は、経営者交代の中でも日本の銀行に着目して、その交代に伴う利益マネジメントについて検討した。そこでは、自発的な経営者交代と強制的な経営者交代、内部者の昇進と外部者の就任を区別している。また利益マネジメントについては会計的裁量行動と実体的裁量行動について分析を行っている。サンプルは地方銀行協会、第二地方銀行協会に属している銀行の2001年3月-2020年3月期のデータを用いた。 利益マネジメントの手段として会計的裁量行動である貸倒引当金についてまず検討した。分析には梅澤 (2016)が開発した貸倒引当金モデルを利用した。経営者交代前後の貸倒引当金については、強制的な交代の後や外部から就任した新任経営者は、就任2年目に貸倒引当金を減少させる傾向があることが示された。このことは、新任経営者が2年目に利益を上昇させることで、自らの能力についてポジティブな印象を与えようとすることを示唆している。就任1年目には特に強い証拠は得られなかった。この証拠は、海外銀行(ドイツ、台湾、インド)のサンプルとする研究を含めて例がない。就任1年目にビッグ・バス会計を実施するといった一般事業会社の証拠、あるいは海外銀行の証拠と異なるものである。さらに、外部者に引き継ぐ退任経営者は退任前年に、多額の貸倒引当金を計上することも示されている。 次に、新任経営者が、手数料損益、有価証券売買損益を通じて、就任後の収益を増加させようとすることを示すことができた(Ertan (2021)のモデルを利用して分析した)。これらは実体的裁量行動と呼ばれるものである。貸倒引当金の調整と併せて考えると、利益マネジメントが会計的裁量行動と実体的裁量行動の両方を考慮して行われることが示唆されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当年度は先行研究の少ない銀行の経営者交代に注力して分析を行っている。一般事業会社については前年度までの遅れを取り戻せなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
銀行の経営者交代については、執筆した論文をセミナー等での意見を参考にブラッシュ・アップして国際誌に投稿する。一般事業会社についてはデータを整えるつつ、分析を進めたい。
|