研究課題/領域番号 |
20K02012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2023) 東京都立大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
浅野 敬志 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30329833)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 会計学 / 財務会計 / 国際会計 |
研究開始時の研究の概要 |
会計情報の複雑性が増加しているといわれる。しかし、アナリストや機関投資家などの洗練された情報利用者を想定した場合、当該利用者との効果的なコミュニケーションを阻害するほど複雑性が増加しているかは定かではない。本研究では、日本企業を対象に会計情報の複雑性の実態とその影響を分析する。負の影響がある場合は、その軽減策についても検討する。具体的には、①テキストマイニングの手法を用いて会計情報の複雑性を測定し、②複雑性が投資家の情報環境や株価反応を悪化させるか、③悪化させる場合、自発的な情報開示(所在地別セグメント情報、業績予想、統合報告書、英文情報)は複雑性の軽減に役立つか、について実証的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、会計情報の複雑性とその影響を分析し、負の影響がある場合はその軽減策(自発的開示)を明らかにすることにある。本年度も、サステナビリティ情報が財務情報よりも複雑にならざるを得ない点、およびサステナビリティ情報に関する多くの基準やフレームワークが独自で策定され、情報の作成者と利用者の双方に混乱を招いている点などから、主にサステナビリティ情報に焦点を当て、会計情報の複雑性に関する研究を進めた。その成果は、『証券経済研究』(日本証券経済研究所)や『サステナビリティ情報開示ハンドブック』(日本経済新聞出版)などに掲載されている。 本年度、新たに明らかになったのは次の5点である。①サステナビリティ情報を活用する投資家には、企業価値に関心がある投資家(価値投資家)と企業価値以外のことに関心がある投資家(価値観投資家)が存在する、②価値投資家は社会や環境が企業業績に及ぼす影響に焦点を当てた情報開示を求めるのに対して、価値観投資家は企業が社会や環境に及ぼす影響に焦点を当てた情報開示を求める、③主たる情報利用者として投資家を想定した場合でも、様々な関心を持つ投資家が求める情報は広範囲に及ぶことから、結果としてサステナビリティ情報は複雑にならざるを得ない、④国際的にサステナビリティ開示基準の統合化が進められようとしているものの、例えばIFRSサステナビリティ開示基準と欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)で求められている情報は異なっており、サステナビリティ情報の複雑性は解消されそうにない、⑤IASBとISSBは主たる情報利用者として価値投資家を想定し、財務情報とサステナビリティ情報の特性や開示目的なども統一化を図ることで、両情報の接続性(コネクティビティ)を実現させようとしており、これが実現すればサステナビリティ情報の複雑性は軽減されるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、複数のESG評価機関から入手したESGスコアデータを整理したうえで実証分析を行い、その成果を単著論文として公表することができた。また、国内外のサステナビリティ開示基準に関する最新の動向を確認したり、サステナビリティに関する最新の学術論文についても十分にレビューすることができ、サステナビリティ情報に関する理解が深まったと感じている。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、環境、社会、ガバナンスといった分野ごとの研究を深掘りしたりして、本研究に関連した研究をさらに進展させる予定である。また、国内外の学会や研究会に参加して研究発表を行ったり、国内外の査読誌に論文を投稿し、論文掲載に向けて最善を尽くしたいと考えている。
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