研究課題/領域番号 |
20K02013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 和生 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30240279)
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研究分担者 |
壁谷 順之 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (50588944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 退職給付会計 / 遅延認識 / 即時認識 / 価値関連性 / 時系列分析 |
研究開始時の研究の概要 |
退職給付会計基準は発生した一定の債務について遅延認識を認めていたが、2014年3月期から改正され即時認識へ変更がおこなわれた。国内外の研究者によって遅延認識について分析が行われ、当該費用・債務は経営者の裁量の影響を強くうけていることが明らかとなっている。経営者の裁量を抑制するとともに実態開示・リスク開示の視点からも即時認識への変更は支持される。しかし、価値関連性の点では遅延認識の情報の方が優れているとする海外の研究が報告されている。2つの情報を比較した研究は非常に少なく、明確な結論は得られていない。本研究では遅延認識と即時認識の情報を比較し、会計数値の時系列特性や価値関連性について分析する。
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研究成果の概要 |
本研究では退職給付会計における遅延認識の効果について分析した。遅延認識は仮定と実際が異なった場合に発生する債務の認識を遅らせるものであり、費用平準化が会計基準として組み込まれたものであった。分析の結果、費用の変動は抑制されているとともに、当該債務に係る償却費用は経営者が決定した基礎率によって影響を受けていることが確認された。また、市場評価の点では、貸借対照表の債務情報はマイナス要因として評価されているが、費用情報はマイナス要因ではなく、基礎率を反映して経営者の裁量情報として評価されている可能性があることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義として3点があげられる。1)本研究は市場はタイムリーな情報と持続性の高い情報のどちらをより必要としているのかを解明するものである。2)本研究の議論は会計認識の遅速の問題であり、保守主義とも関連している。3)即時認識によって、当該費用は当期純利益とその他の包括利益の両方に計上されることになった。本研究は包括利益に関する学術的な議論に適用できる。 社会的意義として次の点があげられる。会計基準の変更により価値関連性が高められたかを解明することによって、市場・投資家が必要とする情報提供において、会計制度やその変更が社会的な役割を果たしていることを示す。
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