研究課題/領域番号 |
20K02022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鳥羽 至英 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (90106089)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 監査史 / 監査学 / 委託受託関係 / 受託責任 / 報告責任 / 財産の保全管理責任 / 支配 / 統治 / Stewardship / Audit concept / Entrustment / Exchequer audit / Manor and guild Audit / Colonial audit / Railroad Company Audit / Credit (bank) audit / audit history / stewardship / accountability / custodial responsibility / audit of accounts / agency theory / medieval audits / entrustment / history / auditing |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、概念研究と歴史研究の総合的研究である。監査の生成基盤であるstewardshipと監査の内容(監査の型と監査人の役割)を実質的に決定する「受託責任」む概念を、歴史的に、そして現代のコンテクストに照らして解明することにより、①監査概念の純化と②会計先進諸国において現実に行われていた監査(audit)の生成基盤の原型と構造を歴史的に考察・明示することによって、学術的に「監査」と称すべき実務と「監査」という冠を付してはならない実務との峻別を模索する研究である。このようなアプローチによる監査研究は、小生の知るところでは、内外ともになく、その意味で「創造性」と「学術的独自性」を兼ね備えている。
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研究実績の概要 |
本研究は、英国、アメリカ、そして日本において誕生した初期の時代における監査の構造と特徴を、受託者が委託者に対して負っている受託責任という準拠枠から考察した監査の世界史研究である。この研究で取り上げた英国の監査史例は、(1)中世英国の王室財務省(Exchequer)の監査、(2)中世英国の荘園監査, (3)中世英国のギルド監査、(4)英国東インド会社の監査、(5)英国会社法(1856年会社法まで)の計算書監査である。 アメリカにおける監査史例は、(6)アメリカ植民地において行われた国家(Massachusetts Bay Company)における監査、(7)アメリカ植民地において行われた民間の商会(William Prentis Company)の監査、(8) 19世紀中頃の鉄道会社において行われた監査, (9)20世紀前期において行われた信用監査(貸借対照表監査),(10)1933年連邦証券法下で行われた財務諸表監査である。 日本における監査史例は、(11)徳川幕府(初期)下で行われた勘定吟味役監査、(12)徳川時代初期の商家三井家て行われた監査,(13)徳川後期に行われた近江商人中井家の監査,(14)明治期初期の銚子汽船会社の監査, (15)三井銀行(私盟会社)における監査, (16)明治23年法下の監査役監査, (17) 会計検査院設置当時の監査, (18) 戦後の地方自治法制定時点で行われた地方自治体監査、(19)戦後の証券取引法制定初期における「会計制度監査」と「正規の監査」である。 これらの監査史の分析は、研究の最後においてまとめられている。なお、本研究は、監査角という独立の学問領域を模索する中で行われており、最後に、「監査学」の学問体系が示されている。その中に、監査史研究が位置している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究史料の入手が、コロナ下におけるさまざまな制約のために、予定通りにはいかず、全体として少しずつ遅れるという状況であった。また、2022年10月にコロナウイルスに罹患し、作業全体が遅れたことが大きく影響している。現在、最後の詰めの段階には到達しているものの、当初予定した2022年度中に完了させることは無理と判断し、延長することとした。現在、研究成果の出版作業を行っている。、
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今後の研究の推進方策 |
英国、アメリカ、そして日本における監査史研究を通じて、各国において誕生した監査の構造(型)がその国の文化(とりわけ、委託受託関係に潜むリスクに対する社会の人々の認識の程度)に影響を受けている可能性が強いことを認識するに至った。特に、わが国の監査においては、そのような感を強くしている。「監査は文化に従う。」ということであろうか。この「監査と文化」の問題については、今回の研究においては直接触れず、2023年度の基盤研究Cにおいて、気持ちを新たにして行うこととなった。まずは、「文化とは何か」という大問題からスタートする予定である。今回の「世界の監査史とStewardship}を通じて得られた「副産物」である。
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