研究課題/領域番号 |
20K02039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡田 裕正 長崎大学, 経済学部, 教授 (40201983)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ROE / 評価・換算差額等 / リスクアペタイト(損失許容額) / 組替調整(利益のリサイクル) / 会社法会計 / 資産負債アプローチ / ROE(自己資本利益率) / リスクアペタイト / リスク許容比率 / 評価換算差額等倍率 / 評価換算差額倍率 / リスクシェアリング / 評価・換算差額等倍率 / 損益計算 / コーポレートガバナンスコード / その他の包括利益 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本企業におけるリスクアペタイト(損失許容限度)に関する指標の開発である。この研究の背景には、コーポレートガバナンス・コードの公表がある。これは、日本再興戦略の下、欧米企業並みの自己資本利益率(ROE)の達成を目的に、日本企業に「攻め」のガバナンスを求めるものであるが、他方で、損失(リスク)に対する「守り」の環境整備も求めている。従来のROEの計算要素は、「攻め」の評価をしていたと考えられる。これに対して、本研究では、時価評価額と取得価額との差額であるOCIを利用して、従来のROEの計算を再構成してリスクアペタイトを示す指標を開発するとともに、その妥当性を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究で、企業のリスクアペタイト(損失許容限度)を示す指標の開発のために、2010年度~2020年度において日本の会計基準を一貫して用いている上場小売業の財務諸表を利用して、自己資本利益率(ROE)とその他有価証券評価差額金の相関関係を調べた。しかし、調査対象とした小売業については、将来生じる損失を吸収すると考えた「その他有価証券評価差額金」とROEとの間、「その他有価証券評価差額金+その他利益剰余金」とROEとの間では、明確な相関関係を見出すことができなかった。他方で、本研究では、その他有価証券評価差額金を利用した損失吸収のための会計が、会社法の理念と矛盾しないことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、次の2点にある。第1は、貸借対照表の「評価・換算差額等」に含まれる「その他有価証券評価差額金」などの金額がマイナスの時の配当規制は、将来生じる可能性がある損失を将来株主ではなく、当期の株主に負担させること、そしてそのことは債権者に対する担保として存在する会社資産の流出を防ぐことを通じて、会社法の理念にかなっていることを明らかにした。第2は、損失回避のために「評価・換算差額等」に含まれる時価評価差額を利益として確定する際の会計処理(組替調整)のうち、洗替法を使った場合に、貸借対照表で計算した利益を損益計算書が説明するという資産負債アプローチの考えと整合することを示した。
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