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投資家の不均一性が情報開示に与える影響に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02042
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07100:会計学関連
研究機関神戸市外国語大学

研究代表者

石椛 義和  神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20553142)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード会計学 / 情報開示
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は,会計情報を中心とした企業情報と,情報解釈が不均一な投資家との関係を明らかにし,経営者の開示行動を考察することである.
はじめに,投資家の不均一性が生じる状況に注目した既存研究の整理を通して,その状況が生じる要因の特定を試みる.続いて,資本市場と経営者効用を組み込んだ理論モデルを構築し,投資家の不均一性が企業の開示行動や開示情報に与える影響を考察する.
企業情報と投資家行動との関係については多くの実証研究が行われており,様々な理論的な説明が存在している.本研究は,この関係をより緻密にモデル化することで,資本市場と企業の開示行動の関連性について,より現実的な解釈を試みるものである.

研究実績の概要

本研究の目的は,開示情報と不均一な投資家との関係を明らかにしたうえで,経営者の開示行動を数理モデルを用いて検証することである.
具体的には,投資家を取り巻く状況や情報特性を中心に,投資家行動の「決定要因」を先行研究等から整理したうえで,投資家の意見不一致を含有する「資本市場」モデルを構築し,経営者の「開示戦略」モデルと結合することで,投資家の不均一性が情報開示に与える影響を考察する.
当該年度は,経営者の開示戦略として,Ishinagi and Shiiba (2023)で対象とした業績予想に改めて着目し,株式市場の非効率性が開示戦略に与える影響を考察した.具体的には,Grossman (1981)などで示される完全開示モデルに株式市場の非効率性を組み込むことで,情報を隠すインセンティブが生じる可能性を検討した.この研究は投資家の意見の不一致と開示戦略との関係を確認するものであり,引き続きモデル拡張の検討および分析を実施する.
また,情報開示環境と企業行動の関係についての研究を継続して行っており,複数競争市場における情報の開示/非開示によって経営者の投資行動が異なることを確認した.この結果は海外査読雑誌への掲載が決定している.開示情報の異なる複数の市場が経営者行動に与える影響の検討は,投資家の意見不一致のモデル化検討の一助となるものである.
さらに,投資行動の「決定要因」に関連した研究として,株式市場における企業価値評価モデルの検討を行った.経営者の目的関数が市場の期待キャッシュ・フローに与える影響に注目する研究であり,投資家行動をモデル化する土台となるものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の目的は,開示情報と不均一な投資家との関係を明らかにし,経営者の開示行動を数理モデルを用いて検証することである.投資家行動の「決定要因」を先行研究等から整理したうえで,投資家の意見不一致を含有する「資本市場」モデルを構築し,経営者の「開示戦略」モデルを考察する.
当該年度は,完全開示モデルにおいて株式市場の非効率性を仮定すると,Bad Newsを開示しない状況が生じることを確認したうえで,日本市場で観察されているBad Newsの早期開示について要因を説明する理論モデルの構築を検討し,現在はモデルの分析を進めている段階である.研究を進める中で,モデル設定において情報開示が自発的か強制的かについての検討が重要であることが分かったため,先行研究の調査を並行して行っていること,これまでの研究結果の論文投稿および改定作業に想定以上の時間を要したことにより,上記の理論モデルの構築に時間を要している.また,本研究で関心の高い事項である,株式市場の非効率性が引き起こされる「決定要因」についての整理,考察を十分に行うことができなかったため,上記区分とした.

今後の研究の推進方策

開示情報と不均一な投資家との関係を確認し,経営者の開示行動を数理モデルを用いて検証するという本研究の目的に対して,引き続き理論モデルの構築および分析を実施する.
具体的には,当該年度において検討している,株価の非効率性を含めた開示モデルの分析を進め,非効率性が開示戦略に与える影響や,開示される情報の特徴を確認する.そのうえで,非効率性を生み出す要因について,具体的な開示情報の特性との関係から考察を行う予定である.
本研究は学会や研究会等での議論によって修正や拡張を行い,理論を洗練させる.研究成果は論文としてまとめたうえで,学術雑誌等に投稿する予定である.

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Observable and Unobservable Investment Information in Multiple Markets2024

    • 著者名/発表者名
      Ishinagi Yoshikazu、Oh Joonghwa
    • 雑誌名

      Economic Analysis Letters

      巻: 3 号: 3 ページ: 37-48

    • DOI

      10.58567/eal03030001

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Are banks risk-averse or risk-neutral investors?2023

    • 著者名/発表者名
      Takino Kazuhiro、Ishinagi Yoshikazu
    • 雑誌名

      Journal of Behavioral and Experimental Finance

      巻: 37 ページ: 100792-100792

    • DOI

      10.1016/j.jbef.2023.100792

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Management earnings forecast and financial statement complexity2023

    • 著者名/発表者名
      Ishinagi Yoshikazu、Shiiba Atsushi
    • 雑誌名

      Journal of Accounting and Public Policy

      巻: - 号: 4 ページ: 107072-107072

    • DOI

      10.1016/j.jaccpubpol.2023.107072

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] On mean-variance analysis of a bank's behavior2022

    • 著者名/発表者名
      Takino Kazuhiro、Ishinagi Yoshikazu
    • 雑誌名

      Finance Research Letters

      巻: 46 ページ: 102292-102292

    • DOI

      10.1016/j.frl.2021.102292

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 銀行行動のミクロ経済的モデル化について2021

    • 著者名/発表者名
      瀧野一洋,石椛義和
    • 学会等名
      日本金融・証券計量・工学学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 銀行の資産選択はリスク回避的か?リスク中立的か?2021

    • 著者名/発表者名
      瀧野一洋,石椛義和
    • 学会等名
      日本保険・年金リスク学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 銀行行動のミクロ経済的モデル化について2020

    • 著者名/発表者名
      瀧野一洋,石椛義和
    • 学会等名
      第53回 2020年度夏季JAFEE大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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