研究課題/領域番号 |
20K02047
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村上 裕太郎 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (30434591)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 交際費 / 損金不算入制度 / 契約理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、とくに交際費の損金不算入制度に着目し、「なぜ、世界各国で損金不算入制度が異なっているのか」あるいは「損金不算入制度に影響を及ぼす要因は何か」について数理モデル(契約理論)を用いて明らかにしようとする。まず、令和2年度前半に、理論モデルの構築を試みる。令和2年度中盤から後半にかけて、セミナー、国内学会、国際学会での報告を行い、コメントを反映させて論文を改訂し、海外学術誌への投稿を目指す。令和3年度は、主に理論研究で得られた実証仮説をデータで検証することに時間を費やす。そして令和4年度は、実証分析で得られた結果をもとに理論モデルを修正する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、世界各国で導入されている交際費の損金不算入制度が、企業の接待交際活動の水準や報酬契約などにどのような影響を与えるかを分析することである。これらの活動は企業価値を生み出し、活動自体が消費財の性格を持つためエージェントに利益をもたらすので、プリンシパルはエージェントにインセンティブを課して働かせることと、交際活動の損金不算入による税支払いのトレードオフに直面する。さらに本研究では、税務当局の行動を考慮し、税務当局が損金不算入比率を柔軟に変更できる場合を分析する。
本研究の主な結果は以下の通りである。損金不算入比率が硬直的である場合、法人税率の上昇はインセンティブ率を低下させるが、政策変更が柔軟である場合、法人税率の上昇は損金不算入比率を低下させることによるインセンティブ率の上昇によって税収が増加することで、より企業活動を促すことができる。さらに、損金不算入比率が硬直的である場合、エージェントの交際活動への選好が高まれば、プリンシパルの期待効用は常に向上する。一方、政策変更が柔軟であれば、エージェントの交際活動への選好が強ければ強いほど、税務当局は控除対象外比率を上げることで交際活動を抑制し、プリンシパルの期待効用を低下させる可能性がある。
2022年度は、この研究成果をベルゲン(ノルウェー)で開催されたヨーロッパ会計学会で報告し、Journal of Accounting and Public Policy誌に再投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、新型コロナウイルスの影響が緩和され、海外では対面での国際学会が戻った。われわれも、さっそく対面での学会に参加することで、参加者との交流をはじめ、論文に関してさまざまなフィードバックをもらうことができた。
海外学術誌の投稿に関しても、2021年度末に投稿したものが、2度Revise and Resubmitを経て、2022年度末に3度目の投稿をして、現在査読結果を待っている状況である。学術誌の投稿については、査読のスピードによるところもあるが、大幅な論文改訂はすでに終了しているため、おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
上記、進捗状況でも記載した通り、Journal of Accounting and Public Policy誌に投稿した論文が現在、サードラウンドまで進捗しているため、査読者からのレポートを受け取り次第、4度目の再投稿作業に取り組む予定である。その際、英文校閲費用などが発生するため、期限延長した研究費からその費用を捻出する。
|