研究課題/領域番号 |
20K02049
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
成岡 浩一 専修大学, 商学部, 教授 (90308172)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 研究開発活動 / イノベーション / ディスクロージャー / 知的財産 / 無形資産 / ガバナンス / 研究開発投資 / 財務報告の質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は(i)研究開発投資が生み出すイノベーションの量・質は将来業績や企業価値にどのように影響するか、またその影響要因は何か、(ii)研究開発投資やイノベーションに関する情報を伝達するために、企業はどのような会計・開示行動をとるか。また、日本企業におけるガバナンスの特徴はかかる会計・開示行動にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。本研究により、研究開発投資と将来業績、企業価値の関係や、研究開発投資の会計・開示行動のメカニズムが明らかになれば、研究開発投資の会計・開示制度の議論に貢献しうると期待できる。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、前年度までの文献調査、作成したデータセットに基づき、分析を進めた。第一に、技術的競争圧力と経営者予想の開示行動との間に有意な関連があることを示す結果を得た。また、特許の質と量の尺度がこれらの関係に影響を及ぼすことを確認している。以上の結果は仮説に整合的であり、現在、さらに詳細な分析を進めているところである。第二に、研究開発集中度、製品開発段階、経営者報酬等の影響のほか、知的財産権制度の変化がプロプライエタリ・コストの増減を通じて、会計・開示行動に影響を及ぼす可能性を精査している。そのため、手作業による収集を含め、データセットの改良・拡張を進めた。とりわけ、特許出願の早期審査・早期審理による特許取得の早期化に注目し、制度変化の影響を調査している。同制度により審査請求から審査結果の通知にいたる期間は数カ月から1年程度短縮される可能性があるが、このことは、出願公開のもたらすプロプライエタリ・コストを緩和する可能性があり、ひいては会計・開示行動にも影響を及ぼす可能性があると考えている。第三に、先行研究のレビューや実証分析を通じて、知財・無形資産の開示・ガバナンスのあり方についても新たな着想を得た。コーポレートガバナンス・コードが2021年6月に改訂され、知的財産への投資に関する開示やガバナンスについての記述が盛り込まれた。戦略やビジネスモデルとの関連、セグメント単位の情報等を含む開示・発信は、知財・無形資産への投資に対する投資家の理解を深め、大きなベネフィットをもたらす可能性がある。その一方で、機密性の高い情報の開示に伴うコストは無視できず、開示内容やその方法は慎重な検討が必要である。以上の観点から、知財投資の開示やガバナンスの課題を検討し、すでに論文を公表した。今年度は、実証分析と合わせ、研究を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたデータセットの作成は完了しているものの、分析の枠組みが広がったため、手作業による収集を含むデータセットの改良・拡張が必要となった。データの分析は進んでいるものの本格的な分析の完了には至っていない。したがって、全体としては当初の計画よりやや遅れているといえる。知財・無形資産の開示・ガバナンスのあり方という新たな論点についても並行して研究を進めており、期待される研究成果は当初に比べ拡張した。現在は、できるだけ早く論文をまとめることを目指している。
|
今後の研究の推進方策 |
データセットを改良・拡張した後、本格的な分析を完了させたい。分析結果は、学会報告や論文として公表していく予定である。授業等の公務や学会事務等の負担は大きいが、効率的に作業を行い、研究成果を公表することを目指す。
|