研究課題/領域番号 |
20K02062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
柏尾 珠紀 滋賀大学, 研究推進機構, 研究員 (70414034)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 農村女性 / 農村女性リーダー / 農業技術 / 生活技術 / ジェンダー / 地域社会 / 育成システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、技術の観点から農村女性や女性農業者の活動をとらえなおし、女性が保有する伝統的な生活技術と直売活動や起業で発揮されている農業技術について、その社会経済的意義を再評価する。それにより、農村社会や農業経営における女性の技術の重要性と、持続的発展の可能性を明らかにする。それらをふまえて、農業経営と農村社会の持続的発展を目指すために求められる女性農業者育成システムを具備したシナリオの提示を目指す。
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研究実績の概要 |
研究の3年目の2022年は、これまで新型コロナウイルス感染症拡大防止のため実施できなかった対面でのヒアリング調査を実施すること、および、今年度に調査を実施する予定であった地域での調査を行ったうえで、分析枠組みの理論構築を進めることを目的とした。この2年間実施できなかった大都市近郊における対面でのヒアリング調査の一部については、新型コロナウイルス感染症の拡大が沈静化した時期を見計らい、集中的に対面調査を行うことができた。他方で、相次ぐ再拡大による行動制限のため、地方都市農村部における高齢者へのヒアリング調査とフォーカスグループインタビューについては、計画していた調査のすべて終了することは叶わなかった。しかし、その代替的対応として、一昨年から進めてきた各地域の女性リーダー育成にまつわる行政資料の収集については予定以上に進めることができた。それらを検討した結果、明確な地域差があると同時に、そういった差異が当該地域の農業型と深く関わりがある可能性を見いだすことができた。今後はこれらの検証も含めて調査を進める予定である。また他方で、女性農業者の保有する多様な技術の把握と評価については、昨年に引き続き、先行研究をふまえた文献検索や資料の発掘を中心に進めた。とりわけ、生活技術のなかの調理技術に関する資料に重点的にあたることができ、資料のデータベース化や地図化を進めた。成果の一部は調査報告書として投稿した。また、昨年度と今年度の農村女性リーダーの必要性に関する聞き取り調査を考察したものの一部も寄稿した。女性の生活技術が地域社会に果たす役割に関する考察は「島の若者の将来設計と家族・学校との関わり」に記した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は聞き取り調査をもとにデータを蓄積し、先行研究や基礎文献と照合しつつ進めるものであるが、今年度も新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、行動制限こそなかったが、農村の高齢者への聞き取り調査に基づく本研究においては調査先の意向に応じて自主的な制限を必要とした。とりわけ、感染者が比較的少ない地域では、高齢者への面接に配慮が必要であり、予定通りの面接調査を進めることができなかったため調査の一部は再び延期をせざるを得なかった。聞き取り調査については予定通り実施することが叶わなかったため遅れが生じているが、他方で、その代替的対応として一昨年から進めてきた各地域の女性リーダー育成の意向や特徴について多くの資料にあたることができた。また、女性農業者の保有する多様な技術に関する資料や文献の収集については、資料や情報をより一層丁寧に精査し照合することができたため、理論構築、および、データベース化や地図作成による可視化の作業は当初の計画よりも進展できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度でもあるため、これまでの調査および行政資料と文献の検討により考察を進めてきた地域類型化の仮説をふまえて研究を進める予定である。具体的には、延期していた地方都市部における農村女性への聞き取り調査とフォーカスグループインタビューを実施することで仮説の考察を深める。その際には、必要に応じてオンラインも活用して補足調査も随時行うが、基本的に対面での聞き取り調査を実施する。それにより、各地域の農村女性が保有する技術の実態把握とそれらの可視化、また、各地の女性農業者の技術継承過程を明らかにする。農村女性の技術保有とその社会的環境、現代的課題を解明し、農村における女性の技術保有と農村の女性リーダーとの関係や女性リーダーが地域社会や地域農業に果たす役割と可能性について検討することで、農村における女性リーダー育成システムの必要性を明らかにしたい。
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