研究課題/領域番号 |
20K02070
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
塩原 良和 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (80411693)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 多文化主義 / 多文化共生 / 排外主義 / 移民・外国人 / オーストラリア / 日本 / 多文化主義・多文化共生 |
研究開始時の研究の概要 |
まず日本政府・地方自治体が展開してきた多文化共生の理念と、2000年代後半から日本社会で台頭した外国人等への排外主義が論理的にどう関係しているのかを、公的文書等のテキストの定量的・定性的な分析で示し、その関係性が施策の現場にもたらす影響を社会学的に調査する。さらにオーストラリア多文化主義のテキスト分析と現地調査を実施し、日本での知見と比較する。そこから多文化共生/多文化主義と排外主義の関係性に関する新たな理論的視座を提示し、排外主義と対峙するうえでの多文化共生/多文化主義の課題を提示する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、民族・文化的マイノリティへの排外主義を抑制するうえでの、多文化共生/多文化主義の公式理念や施策のもつ有効性と限界を明らかにし、多文化共生/多文化主義と排外主義の関係性を分析する新たな理論的視座を提起する。そのために、日豪において公的文書等の定量的なテキストマイニングと定性的な言説分析、施策の現場における関係者への聞き取りや参与観察といった手法を用いてデータを収集し、その日豪比較分析を通じた理論化を試みる。 2022年度は、これまでコロナ禍でできなかった豪州での現地調査を実施することができた。5月にシドニー、7月にメルボルン、3月にメルボルン・キャンベラを訪問し、資料収集と現地研究者等への聞き取りを実施した。その成果をもとに、英語での論文を完成させ国際雑誌に投稿した。また、2019年度に実施したオーストラリアの日系家族の実態調査のデータをもとに21年度に投稿した英語論文の修正を進めて再提出し、査読に合格して学術雑誌に掲載された。 横浜市・川崎市での調査については、現地の外国人住民支援NPO等とのコンタクトを維持し、支援活動に参加したり、学生を通じてフィールド記録を収集するなどして、情報収集に努めた。 さらに、オーストラリアの人類学者Ghassan Hageの著作の翻訳を監訳者として完成させ、刊行することができた。反響は大きく、私たち自身が実施した刊行記念シンポのほかにも、学会の研究会、勉強会や各誌の書評などで取り上げられた。 このように、コロナ禍による制約は依然としてあったが、そのなかで一定程度の成果を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄に記入したとおり、これまでコロナ禍で実施できなかった海外調査を実施することができた。また、21年度から執筆・投稿していた論文を投稿・刊行したり、オーストラリアの人類学者の重要な著作の邦訳作業も完成させ、刊行することができた。以上の理由から、研究はおおむね順調に推移していると自己評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究の最終年度であり、これまでの調査研究の成果を総合し、批判的多文化主義研究の観点からの多文化主義/多文化共生分析への理論的視座を提起する。具体的には、単著原稿の執筆に取り組み、年度内に刊行のメドを立てることを目指す。また今年度までの研究成果を継承する新たな研究プロジェクトの構想のために、オーストラリア・日本での現地調査を進める。
|