研究課題/領域番号 |
20K02074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
鈴木 玲 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20318611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 労働運動 / 労災職業病 / 公害問題 / 環境問題 / 職業病 / 社会運動 |
研究開始時の研究の概要 |
労働組合は、主に組合員の賃金や労働条件の向上を労使交渉で獲得することを目的としている。労働者の命と健康を守ることも労働組合の重要な役割であるが、これまで労使関係研究では労働者が扱う有害物質により罹患する疾病問題(職業病)に労働組合がどのように対応してきたのかという課題について、あまり研究がなされてこなかった。本研究は、日本とアメリカの労働組合が職業病問題にどのように対応をしたのか、対応の方法に違いがあったのかなどを歴史的、比較的視点から分析する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、全日本金属鉱山労働組合(全鉱)の機関紙『ぜんこう』の1946年~1961年までの珪肺、じん肺関連の記事を調べリスト化した。調査した記事は、全鉱や炭労が主導した珪肺法、じん肺法に向けた社会運動および政府に対する要請、鉱山や炭鉱で働いたことで珪肺・じん肺に罹患した患者の状況および珪肺・じん肺の医学的知見などである。主要な記事については、要点を記録した。 アメリカの職業病や環境問題については、デトロイトの自動車工場での職業病問題(とくに、アフリカ系アメリカ人が多く働く職場の労働環境)、アフリカ系アメリカ人労働者の運動が労働安全衛生の改善や全米自動車労組内部での発言権拡大を求めた運動、アフリカ系アメリカ人の集住地区の環境の劣悪化と住民の健康被害など(それについての全米自動車労組の対応)など、デトロイトを舞台にした環境(職場環境を含む)、工場労働、人種の交叉に関する相当数ある先行研究を調べ、今後予定しているアメリカでの労働アーカイブズ調査の準備をした。 その他、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの労働組合による職業病や公害への取り組み、環境正義論、労働衛生(Industrial hygiene)の歴史など、これまでの研究で十分カバーしていなかった環境・労働問題の先行研究を読んだ。上記のデトロイトの研究と合わせて、これらの文献をもとに「職場がどのように環境の一部となりうるのか」という問題意識に基づいてレビュー論文の執筆を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本の石炭じん肺や珪肺などの職業病と労働運動のかかわりについての調査は、鉱山関係の組合新聞をまとめたが、職場レベルの事例についての資料を探している段階である。そのため、論文にまとめることができなかった。 2022年度は、20年度、21年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大、および研究代表者の体調不良のため、国内および海外調査ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究の読み込みから、アメリカでは、全米自動車労組(UAW)と石油、化学、原子力産業国際労働組合(OCAW)の職業病・公害、および広義の環境問題の資料を現地のアーカイブズ(デトロイトのウェイン州立大学とボルダーのコロラド州立大学の図書館所蔵資料)で調査することを計画している。また、日本のじん肺・珪肺問題については、法政大学大原社会問題研究所所蔵の鉱山や炭鉱の企業組合の資料を調査する予定である。
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