研究課題/領域番号 |
20K02082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
桃原 一彦 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (40369202)
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研究分担者 |
池田 緑 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (40337887)
曹 慶鎬 立教大学, 社会学部, 助教 (20762892)
玉城 福子 沖縄国際大学, 地域文化研究科, 研究員 (20843246)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 受益圏/受苦圏 / 擬似受益圏 / 純受苦圏 / 主体間葛藤/主体内葛藤 / テクノクラート / 沖縄 / 基地問題 / 構造的差別 / 擬似受益圏/純受苦圏 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、沖縄の基地問題をめぐる日本と沖縄との権力関係について、「受益圏/受苦圏」概念を軸とした実証的研究である。まず実証的研究の手続きとして、理論の整理と分析概念の検討を行う。実証的研究については、まず沖縄の基地問題に係る運動家等に対して聞き取り調査を行う。具体的には、基地問題に対する思想的背景や実践の特徴などを捉えていく。次に、沖縄県内在住者を対象としたアンケート調査を行う。具体的には、基地問題や日本との関係に関する意識等の調査を行う。以上から、「受益圏/受苦圏」概念の検討を行うとともに、沖縄の基地問題を社会的な権力構造、差別構造として捉え直し、新たな視点と議論の領域をひらいていく。
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研究実績の概要 |
1.文献研究については、研究代表者、分担者全員によって理論的な所在に関する先行研究を進めた。とくに本研究のキーワード「受益圏/受苦圏」の哲学的な基礎として関わる、アラン・トゥレーヌの文献研究に着手した。また、上記キー概念と隣接する諸概念(「ポジショナリティ」「権力」「不和」等)に関わる文献や、沖縄以外の差別問題に関する文献研究も行い、差別構造研究の一般理論化を行った。 2.前年度(2022年度)に最も重点をおいた、沖縄県在住者を対象とした質問紙調査(定量調査)については、「新型コロナウイルス」の感染状況や全県的な統一地方選挙の影響に伴い、各自治体が保管する「選挙人名簿」からの調査対象者のサンプリング作業に遅れが生じた。同作業を12月に実施し、実際の調査票の配布と回収が2023年2月まで続いた。そのため、定量調査のデータ入力・解析および報告書の執筆については、2023年度に持ち越すこととなった。なお、サンプリング作業と調査票の配布・回収等は研究代表者が行った。また、本調査に先立ち、研究代表者の所属機関(沖縄国際大学)において「人を対象とした研究倫理審査委員会」に審査申請を行い、承認を得ている。 3.面接聞き取り調査(質的調査)については、やはり「新型コロナウイルス」の感染状況が影響し、十分に実施することができなかった。ただし、同感染状況がやや落ち着いた2022年11月には兵庫県尼崎市において沖縄出身者6名に対する面接聞き取り調査を実施することができた。同調査に関する音声データの文字起こしと編集作業およびコーディング作業については、2023年度に持ち越して行っている。この質的調査のデータに関しても、定量調査の結果および仮説モデルとの相補的な効果を得るために用いていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献研究については、本研究課題のキー概念と沖縄の基地問題を関連づける仮説設定作業と、これらを差別問題として組み込む理論的一般化の作業に関して概ね順調に進んでいる。 次に、当初の計画では2021年度に実施する予定であった定量調査が翌2022年度に実施することができたのだが、定量データの入力・解析・報告書執筆等の作業は遅れている。その理由として、調査対象地域としている沖縄県内において「新型コロナウイルス」の感染拡大状況が2022年の9月ごろまで続いてしまい、そのまま統一地方選挙の期間に入ってしまったことによるものである。そのため、各選挙区の「選挙人名簿」からのサンプリング作業を同年12月までずれ込んでしまい、調査票の配布・回収が2023年2月まで続くことになった。以上の理由により、データの入力・解析・報告書執筆等の作業は2023年度に持ち越すこととなった。 面接聞き取り調査(質的調査)については、「新型コロナウイルス」の感染拡大状況が2022年9月ごろまで続いてしまったため、十分に実施することができなかった。研究計画においては、主として沖縄の基地問題に関わる沖縄県内外の運動家およびその情報を発信する主要アクターに対して聞き取りを行う予定であったが、調査実施主体と対象者の感染リスクを考慮し、同年10月ごろまで行わなかった。ただし、同年11月に感染状況が落ち着いたため、兵庫県尼崎市において沖縄出身者6名に対する聞き取り調査を実施することができた。 以上のように、文献研究は概ね順調であるが、定量調査と質的調査がやや遅れているため、研究計画全体を総合的に見ると「やや遅れている」 ものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
文献研究については、本研究のキーワードと沖縄の基地問題との関連づけおよびその差別理論としての一般化を引き続き進める。とくに、2023年度は、隣接諸概念(「ポジショナリティ」「権力」「不和」等)に関わる理論的考察に重点をおいて進める予定である。 次に、2022年度に実施した、沖縄県在住者を対象とした質問紙調査(定量調査)に関するデータ入力・解析・報告書執筆を行う。今年度前半はデータ入力とクリーニング作業を行い、後半にデータ解析および報告書の執筆作業を行う。2024年1月までに報告書を印刷・製本し、同年2月には関係各機関に送付する予定である。 面接聞き取り調査(質的調査)については、2023年度中に沖縄県内外の基地問題に関わる運動家およびその情報を発信する主要アクターに対して適宜行っていく予定である。特に、大学の夏期休暇期間(2023年8月・9月)および定量調査の報告書執筆が落ち着いたころ(2024年1月ごろ)に集中的に行う予定である。 さらに、研究代表者と分担者は、「ポジショナリティ研究会」において、本研究主題と関わる内容で共著書を執筆し、2023年度中に刊行する予定である(現在執筆作業を進めている)。
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