研究課題/領域番号 |
20K02094
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
伊藤 るり 津田塾大学, 総合政策研究所, 研究員 (80184703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 家事労働者 / フィリピン / フランス / 移住労働 / 家庭雇用 / ライフストーリー |
研究開始時の研究の概要 |
フランスは家事労働に労働法を適用する一方で、移民政策としては原則として家事労働者受入れを認めていない。このような政策環境のもと、パリの富裕層・中産階級世帯で働くフィリピン人家事労働者は1970年代以降、徐々に独自の移住システムとコミュニティを形成してきた。その大多数は非正規滞在者として就労を始めるが、一定の就労期間を経て正規化を獲得する者も多い。本研究では、国際社会学の観点から、非正規滞在の立場で家事労働に従事してきた移住女性たちのライフ・ストーリーを聞き取り、その越境的に展開される生活世界の変化を捉えていくことを課題とする。
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研究成果の概要 |
パリの富裕層世帯で働くフィリピン人家事労働者24名(全員女性)への聞き取り調査から、①過半数はシェンゲン域内国境検問廃止(1995年)以降に入国していること、②全員非正規滞在のフェーズを経るが、過半数は2007年オルトフー法以降に正規化していること、③非正規滞在年数は5年以内が4割、10年以上が3割強であり、この間の就労と生活は親族ネットワークや各種アソシエーション、なかんずく宗教組織によって支えられることが確認できた。正規化後は、子どもの教育費確保という目標達成後もフランスでの就労継続を目指す者が多い。また、「就労に基づく正規化」が在留資格を不安定化させる傾向にあることも認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、フランスの富裕層世帯で働くフィリピン人家事労働者の①入国背景と非正規滞在、②正規化、③正規化後の3つのフェーズに着目しながら、24名への聞き取り調査をもとに、その就労と生活の実態、「母親アイデンティティ」に基づくライフ・プロジェクトについて検討するものである。かつ、家事労働のニッチを核として形成されてきたフィリピン人コミュニティの生活世界についても光を当て、相対的に長期の視点に立ってフィリピン人家事労働者の移住システムとコミュニティの関係を考えるところに本研究の学術的意義がある。また、新自由主義的な論理に立つ「就労に基づく正規化」の政策的含意を捉える事例研究としての意義を有する。
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