研究課題/領域番号 |
20K02107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
李 永俊 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (10361007)
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研究分担者 |
花田 真一 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (90636458)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 地域志向教育 / 就職地選択行動 / 地域愛着 / 地域間移動 / 地元愛着 / 就職地選択 / 大学教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、大学における地域志向教育が大学生の地域愛着や就職地選択意識に与える影響について明らかにすることである。日本創生会議などが地方から都市への若者の移動がマクロ全体の人口減少に拍車をかけていると警告しているにも関わらず、地方から東京への人口の流出は未だに続いている。そこで国は2013年度から若者の地域定着率の向上を目指し、地域を志向した教育を強化している。そこで、本研究では大学入学時から卒業時点までの追跡調査結果を用いて、統計的手法で地域志向教育と地元就職の因果関係を明らかにする。そして、分析結果を踏まえて、有効な地方回帰促進策を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学における地域志向教育が大学生の地域愛着や就職地選択意識に与える影響について明らかにすることである。本研究では、大学教育のなかでも地域志向教育が大学生の地域愛着と就職地選択行動に及ぼす影響について、出身地に留意しつつ、追跡調査のデータを用いてその因果関係を明らかにする。 2022年度には、2019年5月と2021年11月に実施した「大学生の地元意識と就業に関する調査」のデータを用いて、地域志向教育が地域愛着と希望就職地選択行動に及ぼす影響について分析を行った。 分析の結果、地域志向教育は県外出身者に限定的ではあるが、地域愛着を高める効果があることが分かった。また、地域志向教育は地方大学生の地域定着に直接的な効果は期待できないことも明らかになった。そして、ボランティア活動やサークル所属など課外活動が地域愛着を高めることが示された。地域就業希望の推計では産業や職業ダミー変数が有意となっており、地域の就業機会の有無が地方大学生の地域就業の決定要因になっていることがわかった。 以上の研究結果は、弘前大学地域未来創生センター主催の政策科学研究会(2022年11月16日オンライン開催)にて報告したほか、論文として取りまとめ、学会誌に査読論文として投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の期間中に明らかにしたい具体的目標として、以下の4点をあげている。①大学での地域志向教育が地域愛着及び地元就職に及ぼす影響を明らかにする。②小中高教育課程における体験型地元志向教育と地元愛着との関係を明らかにする。③労働需要制約、賃金格差などが地方大学生の就業地選択行動に及ぼす影響を明らかにする。④以上の実証分析結果を踏まえて、有効な地方回帰促進策を検討する。また地域住民、行政、移住経験者などを交えて、地域内で共有可能な地方回帰促進策を提案する。 2020~2022年度までの研究では、上記目標の①と②を達成することが出来た。計画していた3回目の調査(4年次対象)が、調査の回収率を高めるために2022年12月から2023年3月に遅らせたために、計画が少し遅れているが、おおむね順調と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
一時点のクロスセクションデータでは、地域志向教育と地元就職の因果関係を明らかにすることは不可能である。そこで、本研究では大学入学時、就職活動を開始する3年時、就職活動が概ね終了した4年時の3時点の追跡調査を行うことで、地域志向教育が地域愛着や地元就職に及ぼす影響を解明することを目指している。2023年3月に3回目の調査が終了した。期間延長となった本年は、データ入力が終わり次第、分析を行い、調査報告書および学術論文を関連学会および学会誌に発表したい。
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