研究課題/領域番号 |
20K02111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三隅 一百 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (80190627)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 災害 / 社会関係資本 / レジリエンス / コモンズ / コミュニティ / 熊本地震 |
研究開始時の研究の概要 |
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)は、社会ネットワーク、信頼、社会規範等が人びとの協力を促す仕組みをいう。本研究は、とりわけ災害に対する地域社会の耐性・回復力(レジリエンス)に資する、社会関係資本メカニズムに焦点をあてる。安全、衛生、自然環境、教育環境、地域活力のような一般的なコモンズ(地域共有財)の維持管理を指標とし、人びとのまとまりが弱い地域でも、それらの維持管理に最低限必要な社会関係資本を持続的に創出するための仕組みを探究する。具体的に2016年熊本震災を対象として社会調査を行い、地域社会が抱える現実の問題状況をふまえた理論研究を行う。
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研究成果の概要 |
地域共有物の観点から災害レジリエンスを捉える視点のもと、「コミュニティ」を諸々の地域共有物の管理に関わる社会システム、単一の地域共有物に対応する部分社会システムを「コミュニティ・モジュール」と概念化した。現代都市コミュニティは、分業や分担の形で住民が部分的に諸々の地域共有物の管理に関わる「コミュニティ・モジュール複合」として捉えられる。熊本市で実施した市民意識調査データの分析によって、地域共有物管理に部分的に関わる形のフリーライダーが、社会関係資本のストックとして、地域社会の災害レジリエンスを高める働きを実証的に解明した。また、一般化された互酬性の規範がその働きを補強することを見いだした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地域共有物は、地域社会生活に不可欠な公共財ないしコモンプール財であり、災害復興においてもその管理は重要な課題である。これをコミュニティ概念に組み込むことで、都市コミュニティ論、コモンズ論、災害社会学を融合する概念枠組みを提示したことは、社会学のみならず学際的アプローチが不可欠な災害研究に対しても重要な貢献である。人びとがその管理に部分的に関わる形で複数の地域共有物がばらばらに管理される都市的形態は、地域全体としての互酬性をどう保持するかという問題を示唆している。その保持を行政やNPO等がどのようにサポートするかは、重要な政策的課題だと考えられる。
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