研究課題/領域番号 |
20K02113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
武田 俊輔 法政大学, 社会学部, 教授 (10398365)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 祭礼 / 民俗芸能 / 地域社会 / コロナ禍 / レジリエンス / アーティスト / 放送メディア / 移住者 / 他出者 / 村落 / 関係人口 / オンライン化 / Iターン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は現代日本の地域社会における祭礼・民俗芸能において、他出者や他出者の子ども世代、外部からのIターン者等がどのようにそこに参入しいかなる役割を果たすのか、そうした中で祭礼の担いのしくみがどう再編されるのか分析する。その際、住民・他出者側からの移住者等の関与への違和感、住民からのまなざしや集落の慣習へのIターン者側の戸惑い、相互の仲介役を担う住民や地域づくり団体が果たす役割に注目し、そうした中で祭礼・芸能ひいては集落のコミュニティが継承される可能性を地方都市と農山漁村の各フィールドに即して明らかにする。またウィーン大学等の海外の日本学研究者と協力しつつ、研究成果を海外で英文でも発信する。
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研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍が地域社会に対して与えた影響とその状況における住民の模索,保存会にとどまらない諸アクター間の関係性を通じた継承への方向性の再構築について調査を行い、また論文を刊行した。まずは在来地方都市における町内社会とそこで継承される都市祭礼、また限界集落における民俗芸能を手がかりとして分析した。まずは2021年の段階で祭礼の縮小開催を行った滋賀県長浜市・長浜曳山祭を事例に、コロナ禍が都市祭礼に与えた困難やその変容,そして開催を可能とした要因を2022年までの段階について分析し、各地で祭礼の再開を可能とした背景にある,コミュニティのレジリエンスや地域社会における行政や学校等との社会関係資本が果たした役割について明らかにした。もう一つの事例は、滋賀県高島市朽木古屋の六斎念仏である。ここでは保存会でなくアーティストや関心を持つ市民もまたその担い手となることで、一度中絶した民俗芸能が2017年より再開されたが、コロナ禍の期間においてはアーティストが指導役となるオンライン稽古によって、関心を持つ人々が新たに稽古に加わった。2023年3月にはこれまで古屋にきたことがなく、一度も対面では顔を合わせたことがない人々も含めて、保存会メンバー・アーティスト・オンライン参加者が一堂に会して踊りを合わせ、交流し、8月の実施に向けて本格的に始動している。かくして、従来の担い手にとどまらないネットワークが祭礼・民俗芸能の継承において果たしている役割について、複数の論文で明らかにすることができた。加えて戦後日本において、祭礼や民俗芸能とそれを通じた「ふるさと」のイメージの構築に重要な役割を果たしたメディアとして放送局、特にNHKの芸能担当部局や地方局、さらには自治体や地元企業といったアクターが1960・70年代に果たした役割について、調査と学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍ということで当初予定していた方向性とは必ずしも一致しなかったものの、コロナ禍がもたらしたアクター間の関係性の断絶やそこからの再開、そして地域社会における祭礼・民俗芸能をめぐるレジリエンスについて充実した論考を、複数刊行することができた。またそうしたレジリエンスを支える上で重要な意味を持つ、地域社会における歴史とその記憶、社会関係資本といった要素の持つ重要性を見出すこともできた。放送局と祭礼・民俗芸能とを結びつけた関係性についても、資料面での調査を進めることができ、順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年11月まで、もう一つのフィールドである山口県上関町祝島については、島外からの来訪について自治会からの自粛要請が出ており、実質的に調査を行うことがかなわなかった。2023年度よりこちらの調査に力を入れ、コロナ禍が地域社会にもたらした影響や、2024年の神舞に向けた住民の活動、そしてそこで移住者が果たす役割について、調査を行っていく。また長浜についてはコロナ禍からの祭礼のさらなる回復過程について分析するとともに、古屋についてもコロナ禍以降初めてとなる奉納に向けた状況について、フィールドワークを中心にして明らかにしていく。
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