研究課題/領域番号 |
20K02120
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
中村 雅子 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (00217895)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | クラウドファンディング / 情報システム / 提案者 / 支援者 / 地域の生態系 / 共進化 / 運営者 / 地域活性化 / 使いこなし / コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
地域への情報システム導入を、街づくり活動とシステムが相互構成していく「共進化」の過程として捉えることによって、今後の街づくりにおけるICTの役割について新たな知見を提供する。ICTが街づくり活動に貢献するためには、情報システムの「使いこなし」やシステム側の適応・変更だけでなく、街づくりの活動や組織、ネットワーク作りも変化する「共進化」が必要であることを、個別の情報システムだけでなく、それを一部とする地域の情報の生態系(社会-技術的ネットワーク)を分析単位として、質的、量的調査の両面に基づいて実証的に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、情報システムが街づくりに効果的、継続的に活用されるための要件を検討することを目的としている。そのためには、1)情報システムの「使いこなし(domestication、馴化)」やシステム側の適応・変更が求められる一方、街づくりの活動や組織、ネットワーク作りも変化する「共進化」が必要であることを、2)個別の情報システムだけでなく、それを一部とする各地の情報の地域生態系(社会-技術的ネットワーク)を分析単位とする比較分析およびオンライン調査に基づき実証的・多面的に検討することを目的とした。 本研究では、このような検討の検証素材として、主に地域系クラウドファンディング(特定地域の活性化や貢献をミッションとして掲げる運営者によるクラウドファンディング)を中心に検討することとしていた。しかしながら研究開始直後からいくつかの要因で本研究には多くの課題が生じた(進捗の欄で後述)。 このため2022年度は文献調査、理論研究を進めるほか、全国のクラウドファンディング提案者および支援者への包括的な調査を予定よりもやや早めて実施し、この間のクラウドファンディングを取り巻く環境の変化が実践者の意識や分布に及ぼす影響の分析を中心に行った。 結果として、短期間の間に、クラウドファンディングの提案者、支援者による「使いこなし」には大きな変化があり、プラットフォーム事業者側も寡占化が進むとともに、それぞれ、得意とする戦略を明確にして分化が進んでいることが確認された。ここまでの成果として、過去の運営者を中心とする実践者への質的な取材をまとめた紀要論文1件、クラウドファンディング・ユーザの特性とコミュニティへの影響を論じた依頼論文1件、および提案者の実態調査に基づく査読論文(投稿中)1件をまとめ、学会発表2件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は現地への訪問取材を重視して立案したが、2020年度以降の3年間にCovid-19感染に対する全国的な緊急事態宣言・蔓延防止策などの施策や、それらに基づく大学の研究方針(国内外への出張禁止など)が長期に渡ったため、大きな影響を受けた。また、研究立案以降に研究対象となるクラウドファンディングという事象そのものにも大きな変化が生じた。今後、調査をどのように進めるかの検討に時間を要した。さらに主たる対象として予定していた活動の多くの情報システム提供事業者がサービスを終了した。このため新たな取材対象の選定に時間を要している。 一方で前年に言及した大規模調査については、年度はじめに実施して順調に分析を進め論文化につなげるなど予定より進捗している部分もある。
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今後の研究の推進方策 |
クラウドファンディング事象の変化をより正確に把握するために、2022年度に取得した定量的な調査の分析を、先行して蓄積しているデータと比較してさらに進める。また地域系クラウドファンディングのプラットフォームにも新たに注目される事例が見いだせたことから、そのような事例、および過去の事業者で、プラットフォームとの契約が終了してある意味で活動の自由度が高まった事例もあることから、このような行政等と一体となって活動する新たなエコシステムに焦点を当てて当初の目的に向かって調査を進める予定である。ただし対象が大幅に変更されたことから、経過観察のため研究予定期間(2020-2023)の延長も考慮している。
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