研究課題/領域番号 |
20K02126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
武田 里子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30570410)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 結婚移住 / 国際結婚家族 / 国籍選択制度 / 国籍法11条1項 / 移民政策 / 国際結婚 / 日系ハーフ / 東アジア / 国籍法 / 複数国籍 / ポストコロニアリズム / ハーフ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は東アジア(日本・韓国・台湾)における国際結婚に占める主要な存在でありながら先行研究が看過してきた日本人女性とその子どもたちに焦点をあてる。当事者らは居住先では好むと好まざるとにかかわらずポストコロニアルな課題と向き合うことになり、さらに出生により重国籍となる第二世代は「日本人/外国人」の二分法をとる日本では「グレーゾーン」におかれる。そうした人びとは居住国と日本社会をどのように捉えているのか。当事者からの聞き取り調査を通じて、生活圏としての東アジアの可能性と課題を明らかにすることが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本研究は東アジア(日本・韓国・台湾)における国際結婚に占める主要な存在でありながら先行研究が看過してきた日本人女性とその子どもたちの聞き取り調査を通じ、生活圏としての東アジアの可能性と課題を明らかにすることを目的にしている。
コロナ禍による海外調査ができずにいるが、zoom学習会により台湾と韓国で暮らす日本人結婚移住者の直接対話が可能になったことは予期せぬ収穫であった。その中で台湾と韓国における国籍法に関する情報格差などによって「日系ハーフ」日本留学の動機づけが大きく異なることが確認できた。また、この間、ヨーロッパとアメリカに居住する在外邦人とのネットワーク化が大きく進んだ。2023年2月に刊行した科研報告書『国籍法をめぐる当事者による市民的不服従』には当事者10名のエッセイと2つの在外邦人を対象に実施した国籍法に関するウェブアンケート調査結果(2019年・2021年)を収録することができた。報告書は複数国籍学習会ホームページ(https://sites.google.com/view/satokot/)で公開している。これまでの調査研究の成果は、2022年11月日本社会学会大会で報告した(「『日本人/外国人』の二分法と在外邦人の国籍問題」)。
本年度開催学習会のテーマ:①22/5/15英国居住家族(父米国・母日本)の父の英国籍取得に伴い子にも登録による英国籍取得が認められ、予期せず日本国籍を喪失した問題点の論点整理、②22/9/18国籍法11条1項の違憲性を問う東京訴訟と福岡訴訟の論点整理、③23/1/29結婚移住者支援を含む移民政策の日韓比較。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国と台湾での現地調査ができていないこと、コロナ禍のため計画よりもインタビューの実施が遅れていることが「やや遅れている」理由である。
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今後の研究の推進方策 |
国際結婚家族の子のほとんどは父母の国籍を継承し複数国籍であるが、国籍選択制度により20歳までにいずれかの国籍を選択することが求められている。選択率は1割程度であり、放置主義がとられているものの、当事者は自身の状況を「違法状態」であると否定的に捉えている。国籍法制と実態との乖離状況をより具体的に明らかにするため、①国際結婚家族の子ども世代の聞き取りと、特に②「日露ハーフ」の実態把握に努める。「日露ハーフ」については、ロシア大使館に出生届を提出したことにより国籍法11条1項が適用され日本国籍を剥奪されていることが分かっているが、ウェブ調査によりその実態を明らかにし、帰化によらない国籍回復についての提言案をまとめたい。これまでの調査の中間報告として移民政策学会で報告するほか、当事者のエッセイを含めた2冊目の報告書を刊行する。
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