研究課題/領域番号 |
20K02128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
李 洪章 神戸学院大学, 現代社会学部, 准教授 (20733760)
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研究分担者 |
山本 かほり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (30295571)
金 泰植 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 客員次席研究員 (20827406)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 在日朝鮮人 / ナショナリティ / トランスナショナリティ / 北朝鮮表象 / 朝鮮学校 / 帰還的移動 / 韓流受容 / エスニシティ / 表象 / リベラル / 民族 / 祖国 / 「北朝鮮」表象 / トランスナショナル / 祖国訪問 / 北朝鮮・韓国報道 / リベラリズム / ヘイト・スピーチ / 言説空間 / ポストコロニアリズム / ナショナリズム |
研究開始時の研究の概要 |
従来の在日朝鮮人研究は、本質主義的な民族観を脱構築する研究から、個人による「国家」 や「民族」をめぐる経験のミクロな記述へと展開してきた。それに対して本研究では、差別や偏見などの構造的暴力のみならず、「リベラル」によるいっけん「良心的」なアプローチも含めた、在日朝鮮人をめぐる言論空間全体を俯瞰し、それが在日朝鮮人の語りをいかに規定しているのかについて考察する。その際、在日朝鮮人のナショナルな経験と語りがハビトゥスによって産出されるものとして捉え、語り自体が持つ意味と、在日朝鮮人をめぐる政治的秩序とのかかわりを厳密に明らかにする。
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研究成果の概要 |
在日朝鮮人とネイションの関係性に関する言説空間の考察については、社会学領域における在日朝鮮人研究において、「トランスナショナル」や「グローバルとローカルの接続」を過度に強調する一方で、ナショナリティが見落とされてきたことを明らかにした。また、日本の言論における「北朝鮮」表象のあり方については、在日朝鮮人の自己表象的作品において、悪魔化された「北朝鮮」像の影響を強く受けていることが明らかになった。さらには、日本と朝鮮との接触領域における葛藤や共同については、朝鮮学校や在日朝鮮人の本国への移動、韓流受容などについての調査を実施し、在日朝鮮人とネイションの複雑な関係性を多角的に描き出すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
在日朝鮮人のナショナリティをめぐる言説空間が、全体として在日朝鮮人の主体的意思や自律的な選択が後衛に退ける状況を生み出すメカニズムを描き出すことができた。さらには、そうした力学のなかで在日朝鮮人が、複数の準拠集団における「中枢の語彙」を巧みに「翻訳」し、自らの生活世界に落とし込むことで、自らの語りの正当性と合理性を担保しようとする姿を明らかにすることができた。これにより、近年捨象される傾向にある在日朝鮮人と国家/民族の関係性を捉える際、国民国家を相対化しつつも、同時に国家の正体性を問い直すための姿勢・方法を示すことができたと考える。
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