研究課題/領域番号 |
20K02130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
清水 奈名子 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40466678)
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研究分担者 |
飯塚 和也 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20344898)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 原発事故 / 北関東 / 被害の不可視化 / 住民運動 / 測定調査 / ジェンダー / 人権 |
研究開始時の研究の概要 |
東電福島第一原発事故による放射能汚染は、福島県を越えて近隣都県にも広がっているが、その被害は十分に認知されていない。被害に応じた対策を実現するために、北関東被災地住民による県境を越えた活動として、放射線量の測定や健康調査が続けられてきた。 本研究の目的は、北関東地域における原発事故後の住民活動の実態を調査、記録するとともに、栃木県内の土壌等の測定調査を組み込むことで、従来把握されてこなかった低認知被災地域における被害の実態を明らかにしたうえで、国際人権法の枠組みを用いて、被災者が生活環境の安全性に関する情報にアクセスし、健康に生活する権利を回復するために必要な対策を考案することである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、以下の通りに調査、研究活動を実施した。 第一に、栃木県北地域の土壌調査については、2023年5月に調査結果報告会を開催し、調査協力者、分担研究者とともに、過去3年間の土壌調査結果の推移についての意見交換を行った。さらに2023年10月には、調査協力に同意の得られた4世帯について従来と同じ方法で土壌採取を実施し、その測定結果について、研究分担者と共に研究会を開催して確認した。 第二に、栃木県における民間甲状腺検査を実施した4会場(宇都宮、真岡、那須塩原、矢板)において、甲状腺受検者を対象としたアンケート調査を今年度も実施した。また、検査に関わる関係者に聞き取り調査を実施した。 第三に、過去3年間の測定調査、アンケート調査、聞き取り調査の結果を踏まえて、国連人権理事会よる2013年の原発事故後の健康を享受する権利に関する報告書や、普遍的定期審査でのコメント、国内避難民の人権特別報告者の報告書を参照しつつ、日本政府に遵守が求められている国際人権法上のいかなる権利が脅かされているのかについて分析し、その研究成果を予定通り発表することができた。研究成果は、査読付き投稿論文が1本、招待付きの論文が2本、その他が1本、論文集の刊行、平和学会での学会報告、市民社会によって企画された講演会、研究集会など、多様な形で社会に発信することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた土壌調査、アンケート調査、聞き取り調査は予定通りに実施することができた。また国連人権理事会が指摘する原発事故被害者の権利保障に関する問題についても、資料の収集と分析、当事者への聞き取り調査、研究成果の刊行や社会的発信を予定通り行うことができた。 なお、過去4年間の土壌調査の結果をまとめて報告書の作成と確認作業については、予定より時間を要したため、研究期間を1年追加して、2024年度に報告書の刊行と調査結果説明会の開催を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長した2024年度は、上述したとおり、過去4年間にわたって実施してきた栃木県北土壌調査結果をまとめた報告書の刊行と、調査結果の説明会の開催を予定している。また、国際人権法上の権利侵害として原発事故被害者が直面する問題について整理し、特に女性や子どもたちが経験した被害の記録化とその分析作業もあわせて実施する予定である。
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