研究課題/領域番号 |
20K02131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
西阪 仰 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (80208173)
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研究分担者 |
早野 薫 日本女子大学, 文学部, 准教授 (20647143)
小宮 友根 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40714001)
黒嶋 智美 玉川大学, ELFセンター, 准教授 (50714002)
須永 将史 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (90783457)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 行為 / 成田空港反対運動 / 会話分析 / エスノメソドロジー / 原発避難 / 相互行為 / 知覚 / 知識 / 順番交替 / 福島 / 行為の構成 / 原発事故避難からの帰還 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,相互行為において,参加者間での知識配分や権利義務関係等に基づき,行為がどう構成されるかを,具体的な課題に取り組む人たちの会合およびインタビューの分析により明らかにする.データには,原発事故直後に全町避難を行なった福島県の地域における,住民の自主活動およびその準備会合等の録音録画を用いる.会話分析の方法を用いて,次の2つの問いに答える.1. 参加者たちは,認知状態を互いにどのように帰属し合いながら,相互行為において行為を構成するか.2. 自分,相手,第三者をどう相互に関係付けるながら,自身の主張や提案を管理するか.ここから,異なる立場からの合意の可能性について含意を引き出していく.
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研究実績の概要 |
本年度は,この研究課題の主たるフィールドである福島県の原発避難からの帰還地域での新たな調査は,新型コロナ感染症の影響のため,まったくできなかった.一方,成田空港建設計画への反対運動の記録映画を計7本を製作した小川プロダクションの音源が,成田空港空と大地の歴史館に保存されており,それへのアクセスの許可を得ることができ,その整理を行なった.そのなかで,映画に記録されている反対派農民らの会合のデテール(とくにカットされている発言部分)を復元し,相互行為において,地域差や地域共同体がどう再構築され,それが相互行為においてどのような行為として実現するかを分析した. 西阪と須永らは,元の音源を復元することにより,映画において記録されている個々の発言が,映画に含まれない先立つ発言に,明示的にもしくは暗黙裡に,さまざまな言及関係にあることを見出した.議論に参加する他者の声を自分の発言のなかに換骨奪胎しながら,自身の属する地域の特殊事情を訴える正当化の根拠としたり,あるいは,自身の異なる見解を他者の声の拡張として提示するなどの様子が観察できた.議論のなかで異質な者たちが連帯するためのメカニズムの一端をとらえることができた. 黒嶋は,部落集会において,自分たちを指すときに使う言語資源を,前後における異なる言語資源の比較をとおして分析した.とくに「同盟」や「部落」などの一般名詞を特定集合体(特定部落および空港反対同盟)の呼称として(いわば提喩として)用い続けることが,その集合体への帰属性を再構築すると同時に,集合体としての責任・義務を語るための基盤になっているという見通しを得た. 小宮は,部落のリーダーが部落の特定家族への支援を依頼するとき,受益・供益関係や義務・権利関係の様々な交渉をとおして,当該家族に受け入れらやすい形で(例えば,むしろ,その当該家族への依頼として)構成することを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,新型コロナ感染症の影響もあり,福島県での現地調査がまったくできなかった.また研究代表者の個人的な事情も重なり,(学会や国際シンポジウムでの研究発表などは一定数行うことができ,かついくつかの原稿の入稿・投稿もできたものの)研究代表者は論文の発表が滞った.本研究課題の主要な方法論である会話分析は,各自の分析能力の維持のために,定期的にインテンシブなトレーニングセッションを持つことが必須である.にもかかわらず(実際にヨーク大学のPaul Drew教授には講師を引き受けていただいていたにもかかわらず),新型コロナ感染症の影響で,本年度は実現できなかった.一方,このような困難な状況においても,研究分担者はいくつかの論文を発表することができた.また,小川プロダクションの成田空港反対運動の記録映画シリーズの音源の分析については,2つの研究報告を,アメリカ社会学会で行なうことができた.
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今後の研究の推進方策 |
成田空港反対運動については,成田空港空と大地の歴史館に,当時20代から30代の若い反対派農民たちの討論(1970年に『壊死する風景』として出版)の音源があり,それへのアクセスが許されている.2022年12月に行なった予備調査で,出版されたものは大きな割愛・編集を被っていることが明らかになっている.この音源について,個々の発言の前後関係上の位置を確認しながら,例えば,若い農民たちが,自分たちの地域共同体について,「闘争する主体」の形成について,あるいは「武装」(抗議行動において農具や角材を手にとること)の意味について,どのようなやり方で語り,そのようなやり方で語ることによって何を成し遂げているのかを明らかにする予定である.それと同時に,福島県の原発避難からの帰還地域における補足的な現地調査を行ないながら,すでに集めたデータを整理し,論文をまとめる.例えば,過去の出来事について語るとき,記憶として語ることと過去の事実として語ることがある.この語り方の違いは,何にきっかけを持ち,何を成し遂げているのか.未来の計画について語るとき,提案として語るときと個人的な考えとして語ることがある.この語り方の違いは,何にきっかけを持ち,何を成し遂げているのか.これらが今後の課題の候補である.2023年度は,本研究課題の成果の一部を7月の国際会話分析学会(ブリスベン)および8月のアメリカ社会学会(フィラデルフィア)で報告予定である(いずれも採択済). 会話分析がこの研究課題の主要な方法論となっている.この間,新型コロナ感染症の影響で,会話分析のトレーニングセミナーがまったく開催できていない.2023年度は,ヨーク大学のPaul Drew教授より3月初めに来日してセミナーを行なうことの快諾をいただいている.成果を論文や報告書として最終的にまとめるために,このセミナーは重要な意味を持つ.
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