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森岡調査資料群からみる戦後初期の社会調査と質的調査法成立過程の歴史社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02133
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08010:社会学関連
研究機関一橋大学

研究代表者

小林 多寿子  一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (50198793)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード質的調査研究 / 歴史社会学 / 森岡清美 / 質的調査
研究開始時の研究の概要

本研究は、社会調査が数量的×質的調査二分法で分かたれる以前の戦後初期の社会調査を精査し、未分化な社会調査の時代からいかに質的調査が分化して、今日的な質的調査法として実践されるようになったのか質的調査法成立へのプロセスを明らかにする。とくに戦後初期より独自性の高い質的調査研究成果を多く輩出した森岡清美の調査資料群から1950年代60年代の調査に着目し、そのリサーチデザインや調査手法、調査成果を精査しながら、単純な二分法では収まりきらない調査実践の豊かさを見出し、現代の社会調査へ連なる経験社会学的な質的調査の系譜を定かにして、歴史社会学的検討をふまえた社会調査史の再構築をめざす。

研究実績の概要

本研究課題は、現代の社会調査が数量的×質的の二分法で分かたれる以前の戦後初期の時代に、どのような社会調査がいかなる方法によっておこなわれたのかを精査し、未分化な社会調査の時代からいかに質的調査が分化して、今日的な質的調査法として実践されるようになったのか質的調査法成立へのプロセスを明らかにすることをめざしている。とくに戦後初期より独自性の高い質的調査研究成果を数多く輩出した社会学者森岡清美の調査資料群から1950年代60年代の宗教調査と家族調査に着目し、そのリサーチデザインや調査手法、調査展開や調査成果を精査しながら、単純な二分法では収まりきらない調査実践の豊かさを明らかにするための調査研究に取り組んでいる。1977年以前の社会調査実践を精査して質的調査の成立過程をあきらかにし、質的調査の系譜を再構築すること、そして1950年代60年代に実施した複合的な調査と得られた知見が宗教社会学・家族社会学のそれぞれの分野で研究の先端を切り拓いたそのプロセスを描き出すことがねらいである。森岡が保存していた当時の社会調査資料利用の許諾を得て1950年代60年代に手がけた調査研究に重点をおいて調査内容を検討している。
2023年度は、森岡清美の書斎・書庫調査を実施して遺された未整理の調査資料の確認作業に取り組んだ。コロナ禍による現地調査実施の制約が長く続き、リスタディ調査や先行する社会調査の関連調査地の確認が十分できない時期があったものの、森岡書庫・書斎調査によって1948年から2020年代初めまで70年にわたる森岡の研究者生活における多様な調査の概観をえることができた。研究キャリア全体のなかで1950年代60年代の調査資料を位置づけられる資料を得て、調査方法や調査内容、その成果を総合的に把握しながら考察に取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、森岡清美書庫・書斎調査に着手し、資料の確認作業に取り組み始めた。これまでの1950年代60年代の調査資料群を補完する重要な資料を見いだし、調査資料の記録を進めてきた。コロナ禍に阻まれて当初の研究計画からは遅れた現地調査や実施の難しいアーカイヴ調査がある一方で、本研究課題を充実させる新しい展開のなかで研究活動を続けている。

今後の研究の推進方策

本研究課題の中心的な問いは、1977年をライフヒストリー法リバイバルとする質的調査史の通説を覆して今日に連なる質的調査がいかに実践され成立していたのか調査の実際と成果の関係をふまえて見いだすことにある。それは、1950年代から60年代の数量的×質的未分化の時代から分化していく過渡期の調査実践を精査することで社会調査の実態を確認し、社会調査成立の初期の知の生産実態を歴史社会学的に解明する問いでもある。森岡調査資料群は、戦後社会調査の出発期の質的調査形成期を解明するのに適った貴重な資料であり、これらの原資料を調査群の系譜論的視点で再検討し、現地調査の再確認調査も併用して研究に取り組んできた。歴史的背景も踏まえた上で当時の実践された調査法と析出された成果を参照しながら、調査手法ごとにデータを精査した上で一般化されうる社会学的結論がいかに導出されたのかを検討する。
このような問いのもとに、当初の研究計画では、2020年度・2021年度は、社会学的に重要な二つの研究成果からの遡及的検討、2022年度は質的調査のキーワードによる言説分析と歴史軸からの総括に加え、学会の専門領域での中間報告を経て、2023年度には研究課題の補足調査と総括をおこなうという進め方を予定していた。コロナ禍は2023年度当初まで続き、本来予定した現地調査が十分に実施できたとはいいがたいものの、当初の研究計画では予定されていなかった森岡書庫・書斎調査が加わり、本研課題を深化させる新たな調査活動に取り組み始めた。これは、本研究課題である戦後初期の社会調査と質的調査法成立過程を掘り下げるのに重要な研究資料の発掘の機会となっており、膨大な調査資料を確認する作業は多くの時間を要することが予想されるが、2024年度は新たに発見された調査資料の整理と解読作業に従事し、研究のまとめに向けて調査活動を促進する予定である。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] リサーチ・ヘリテージとしての森岡清美調査資料群2021

    • 著者名/発表者名
      小林多寿子
    • 雑誌名

      社会と調査

      巻: 26 ページ: 111-111

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 災禍とオーラルヒストリー (1) ―南相馬市小高区におけるオーラルコミュニティ形成と地域の歴史の再構築―2023

    • 著者名/発表者名
      小林多寿子
    • 学会等名
      日本オーラル・ヒストリー学会第21回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 質的調査研究の可能性―『ライフストーリー・インタビュー:質的研究入門』からの展開―2022

    • 著者名/発表者名
      小林多寿子
    • 学会等名
      研究カフェ(質的研究会、科研費研究課題「質的研究プロセスにおける研究者のリフレクシビティと自己理解に関する探索的研究」[研究代表者:八木真奈美]における発表)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「質的調査とリサーチ・ヘリテージ -戦後初期の森岡調査データから考える-」2021

    • 著者名/発表者名
      小林多寿子
    • 学会等名
      一般社団法人社会調査協会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 考現学と「見る」手法―コロナ禍時代の非・参与型調査の可能性―2020

    • 著者名/発表者名
      小林多寿子
    • 学会等名
      現代風俗研究会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 『戦後日本の社会意識論』「森岡清美―ライフの社会学へ」2023

    • 著者名/発表者名
      小林多寿子
    • 総ページ数
      398
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641174900
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 『質的調査の方法 [第3版]:都市・文化・メディアの感じ方―』「第7章 ライフストーリー法」小林多寿子2022

    • 著者名/発表者名
      工藤保則・寺岡伸悟・宮垣元編 小林多寿子
    • 総ページ数
      194
    • 出版者
      法律文化社
    • ISBN
      9784589041906
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 『方法としての<語り>―民俗学をこえて―』第10章「社会学における質的データとアーカイヴ化の問題―オーラリティと声の公開の可能性―」(小林多寿子)2020

    • 著者名/発表者名
      岩本通弥編 小林多寿子
    • 総ページ数
      380
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623088010
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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