研究課題/領域番号 |
20K02138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
江本 純子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 准教授 (10582380)
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研究分担者 |
冨田 哲治 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (60346533)
金谷 信子 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20509062)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 障害者雇用 / 就労支援 / 就労継続支援A型 / 福祉的就労 / インクルージョン / 社会的包摂 / 障害者政策 / 共生社会 / 障害者就労継続支援A型 / 社会福祉政策 / 社会政策 |
研究開始時の研究の概要 |
障害者の就労関連法や制度拡充により、障害者就労支援関連事業所数、ハローワークを通じた就職件数とも急増している。障害者就労支援事業所(雇用型)は、就職困難者の雇用促進や、新しい労働社会に必要であり、地域の活性化にもつながる。しかし、障害者の就労能力の把握や訓練内容等に関し、詳細な規定はないため、適切な仕事量と質を提供できない事業所もある。 本研究は、以下の課題を解明する。第1に障害者就労支援事業所(雇用型)の運営・支援実態を明らかにする。第2に障害者の労働システム全体像を明確にする。第3に障害者雇用システムの中で就労支援事業所(雇用型)の位置づけ・役割及び効果的運営のためのしくみを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、障害者就労継続支援事業所(雇用型)事業所の訪問調査および公表資料を基に分析・考察することで労働システムと地域社会に新しい可能性を開く障害者雇用野在り方を検討するものである。 2022年度に収集した「障害福祉サービス等情報公表検索」websiteに掲載されていた全国の就労継続支援A型事業所(2021年2月時点)の経営データに対する計量分析により、障害者就労継続支援A型事業所の経営の成果(賃金、経営状況、一般就労への移行状況)を規定する要因を、事業所の法人格や所在地、事業規模、生産活動の内容、事業の特徴やサービス内容などを考慮しながら分析して考察を行った。その結果、一般的な産業活動と社会福祉事業が併存する障害者就労継続支援A型事業所の運営において一般市場の原理と福祉の原理を共存させることが容易でない側面が確認された。一方で、障害者福祉事業としての専門性や公正性に対する意識が高い事業所は一定の成果を上げていることも確認された。また障害者就労継続支援A型事業所の事業内容は多様であり、強み弱みも多様であることも分かった。得られた知見について、学術雑誌へ投稿する準備を行った。 質的調査は、障害者就労継続支援A型事業所の運営と支援の実態を明らかにするため、障害者総合支援法による指定基準を満たすA型事業所の地方と都市部の事業主対象にインタビュー調査を実施した。2023年度は、調査のうち地方分について、回答内容をカテゴリー別に整理したうえで、施設特徴については、さらにテキストマイニングによる分析結果をもとに以下3点を明らかにした。第1に事業規模は大規模または当該地域に必須な事業であること。第2に就労支援と生活支援を一体で実施していること。第3に一般就労への道筋は、ステップアップのしくみがあること、具体的には同一法人内で就労支援関係事業所や特例子会社等を持つなどである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、訪問調査および公表資料の分析の2軸で展開している。 このうち訪問調査については、2020年度は、新型コロナウィルス対策との関連で訪問が一切できず、2021年度後半になって感染症がある程度収まったのを機に、感染症状況を見ながら調査依頼・実施し、現在、分析中である。だが2021年度分訪問調査も、相手先の協力を得る必要があるため、今後も感染状況を見ながら進めたため2022年末に終了したばかりである。 なお公表資料分析については、順調に進行している。「障害福祉サービス等情報公表検索」websiteに掲載されていた全国の就労継続支援A型事業所(2021年2月時点)のデータベース化したデータを用いて、経営法人別の各々の特性を詳細に分析した。その結果、障害者の福祉雇用に関して長い経験を持つ社会福祉法人と、新規参入組である営利法人、一般社団法人、NPO法人の間には、様々な対比が観察され、この結果を再整理して、学術雑誌で報告した。 また公表資料分析および質的調査うち地方分については、学会で報告し、現在学会誌に投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、訪問調査(地方および都市部)および公表資料の分析の2軸で展開している。 このうち 訪問調査については、相手先の協力を得る必要があるため、2022年度末に終了したばかりである。2023年にまず地方分について分析後、報告を行ったが、2024年に都市分の報告予定で準備をすすめている。その後地方と都市部の比較を行う。 公表資料分析については、順調に進行しており、2023年度で報告した。すべての分析が進んだ段階で、2軸をまとめての報告を行い、労働システムと地域社会に新しい可能性を開く障害者雇用のあり方を提言する。
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