研究課題/領域番号 |
20K02143
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
安藤 丈将 武蔵大学, 社会学部, 教授 (50434220)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 社会運動 / 香港 / フード・アクティヴィズム / 民主主義 / パーマカルチャー / 食と農 / 民主化運動 / 農 / 食 / 非暴力 |
研究開始時の研究の概要 |
香港の民主化運動が世界中の注目を集めている。雨傘運動と逃亡犯条例改正反対運動に象徴される政治参加の高まりの中で、民主化運動の大規模で持続的な動員の源泉は何かという問いが研究者の間で盛んに議論されている。 本研究の目的は、香港におけるパーマカルチャー運動の農を通した生活の組み換えと非暴力的な社会変革の実践、及びそれを支える哲学を明らかにすることである。私は、自己責任道徳が強く、政治を忌避する香港の市民文化に対してパーマカルチャー運動がもたらしている変化を示す。
|
研究実績の概要 |
本年度も、国安法後の治安状況に対する懸念のため、香港にフィールド調査することができなかった。すでに施行後4年目になるが、研究者も含めて取り締まりの危険があり、現地調査は依然として困難なままである。 その分、これまでの現地調査、文献調査の成果の取りまとめに力を注いだ。最大の成果は、『香港を耕す:農による自由と民主化運動』岩波書店 2024年2月、である。同書は、香港の民主化運動の中にフード・アクティヴィズムを位置づけ、農の実践の意味を読み解いている。 本研究課題に深く関連する部分としては、まず、3章で、パーマカルチャーがアクティヴィストの資本主義や植民地主義からの自由にいかに寄与しているのかを考察している。また、4章では、3章で論じた自由(社会的自由)の実践を、農民と消費者との関係に踏み込みながら考察している。5章では、パーマカルチャー的な農の実践がいかなる意味で非暴力的であるかを、本土派と呼ばれる物理的な力の行使を辞さないグループとの比較のもと、考察した。 これ以外にも、「フード・アクティヴィズムの政治:社会変革の方法とその課題」『メディア研究』(104) 71-83 2024年1月、では、より理論的なフード・アクティヴィズムの考察をしている。また、『農の力で都市は変われるか』小口広太、アジア太平洋資料センター編、コモンズ』 2023年10月、では、香港の都市農業を広範な読者に紹介している。 口頭発表等も、「香港を耕す:農による自由と民主化運動」香港史研究会 2024年3月、「直接行動の想像力」をめぐって」『直接行動の想像力』刊行記念イベント 2023年12月、で、香港の専門家とそれ以外の関心を持つ人びとに向けて講演をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果に関して、本年度は単著を含む出版をすることができたので、その点では成果を上げたといえる。しかし、国安法後の治安状況の変化のため、現地調査ができていないことには変わりがない。本研究課題の当初(2020年)の計画と比べれば、遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究成果(出版物)をそのフィードバックをもとにしながら理論的、実証的にブラッシュアップしていく予定である。 また、現地調査に関しては、香港現地を包括的に調査するのは、現時点ではリスクが高いと言わざるを得ない。そのため、香港人が移住しており、現地の研究者が高い関心をもって研究を進めている台湾を長期的に訪問し、資料収集等の調査を進めながら、研究の精度を高めていく。
|