研究課題/領域番号 |
20K02144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
堀田 恭子 立正大学, 文学部, 教授 (20325674)
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研究分担者 |
宇田 和子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90733551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 台湾油症 / 油症患者政策 / 被害の実態 / カネミ油症 / 次世代調査 / 食品公害 / 厚労省健康実態調査 / 受容克服過程 / 主観化 / 主体化 / 油症 / 救済制度 / 被害構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本と台湾で起きた食品公害問題である油症事件の被害の実態を身体的(健康)被害・社会的被害・精神的被害から明らかにすることを目的とする。そのために特に身体的被害が主となっている既存の定量的調査結果の二次分析と、調査票設計主体への質的調査を日本と台湾においてそれぞれ実施する。被害者・支援者運動と政策の関係性を視野にいれ、社会的・精神的被害を明らかにするための調査票設計とその実施を試みる。
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研究実績の概要 |
今年度は特に台湾油症に関する調査研究を行った。具体的には現地での資料収集とヒアリング調査である。資料収集の内容は事件当時から現在までの新聞記事の収集(ネット上も含む)、雑誌に関しては主に『消費者報導』『主婦聯盟會訊』『康健雑誌』の油症に関する記事を収集した。さらに行政資料として中央政府国民健康局(現在の国民健康署)が発行する衛生関係の年報(2006年以降)、台中市政府(2011年以降)の衛生関係の年報を電子データで収集した。油症患者全人関係懐中心のHPから得られる対応策関係のデータも収集した。 その他に台湾油症における支援運動として台湾油症受害者支持協会の代表に2023年現在の運動の状況をヒアリングし、さらに被害者の元支持協会の代表でもあった方に現在の身体の状況、患者に対する対応策への評価等をヒアリングした。 なお在外研究期間中に、日本のカネミ油症と台湾油症を社会学的視点から比較考察した形で台湾大学公共衛生学院の「健康社会学」の授業の中で「油症公害の社会学ー台湾と日本の経験」を報告した。さらに国立中正大学コミュニケーション学科の大学院で「油症、環境と正義ードキュメンタリーと社会学的研究」と題して講演した。 現在は新聞記事をもとに「被害者」「行政」「支援」「企業」等の視点から年表の作成を継続中で、さらに中央政府・市政府の年報から得られる油症患者政策の実態を年ごとに作成し全体像の把握を試みている。 日本のカネミ油症に関しては厚労省が次世代調査を始め、その結果も一部であるが公開している。それらのデータを整理し、認定患者に対する既存の調査の経年変化の実態と合わせて、カネミ油症問題の被害の実態も分析中である。台湾油症においても、支援団体である油症受害者支持協会が実施した患者に対する生活調査が実施されており、そちらも合わせて収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、在外研究制度を利用し、台湾に三ヶ月弱滞在した。そのため台湾油症に関しては、目標としていた資料の収集がほぼ終了した。あとはそれらを読み込み、活用する段階にきている。カネミ油症に関しても、当事者に対する健康実態調査や次世代調査が行われており、それらのデータは一部公開されているので、それらを駆使しながら、分析考察の段階に入っている。 当初、台湾と日本においてそれぞれ社会学的な量的調査の企画を目標としていた。しかし、患者に対する負荷や、現在公開されているデータ等が存在するので、それらのテータをまずは社会学的視点から考察することが重要だと考え、現在はそちらの方向で調査研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究の最終年度となるため、今まで収集してきた日本と台湾の資料およびヒアリングデータを整理し分析する。その上で台湾油症と日本のカネミ油症の被害の実態の明確化と、二つの地域での油症患者に対する制度政策の構築過程をまとめる。二地域での比較考察をもとに公害被害者に対する救済制度のあり方も検討する。
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