研究課題/領域番号 |
20K02148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮本 直美 立命館大学, 文学部, 教授 (40401161)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 文化社会学 / 音楽社会学 / 演劇社会学 / 娯楽 / ショービジネス / ポピュラー音楽 / 娯楽文化 / 文化史 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題は19世紀後半から20世紀初頭に主にイギリスに登場した近代的娯楽について、その合理化の過程と趣味(taste)のグローバル・スタンダード化の仕組みを明らかにするものである。近代の都市における娯楽形成過程を象徴的に表わす場はミュージック・ホールであり、劇場文化と音楽文化をつなぐこの場で現代のショー・ビジネスの基盤が作られた。本研究はミュージック・ホールを軸に、現代社会にもつながる娯楽文化の機能を、歴史学・演劇学・音楽学の知見を援用しながら解明する文化社会学的研究である。
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研究実績の概要 |
本研究は近代におけるグローバルな娯楽産業の形成過程を探求するものだが、2022年度は19世紀から20世紀におよぶ劇場ジャンルの状況について、近代化の文脈の中で分析を行なった。 ヨーロッパのロンドン・パリとアメリカのブロードウェイで展開された劇場ジャンルは、芸術志向を強めるオペラと、娯楽性を多面的に発展させたミュージカル関係ジャンルとに分化してゆく。その際、どのような特徴が「芸術」として見なされるのか、他方「娯楽」はどのような変化を辿るのかという点に注目し、ジャンル論という美学的な問題と、都市化・技術革新・メディア文化の隆盛・マーケティングといった社会的な問題がどのように関係しているかを分析した。劇場の娯楽文化は特にポピュラー音楽の展開と強く連動しており、流行やテクノロジーの発展に対して俊敏に反応し、形式を変えてゆく。「芸術」視されるものがある種の原理や規則を土台とするのに対し、娯楽文化は柔軟に変形を受け入れるのであり、その意味でミュージカルなどの劇場文化をポピュラー文化として捉える前提がより重要であることを確認した。現在の「ミュージカル」はそうした変化を経て形成されたものであり、これをはじめから単独ジャンルと見なすのは難しい。本研究では、従来はポピュラー音楽史とミュージカル史とに分かれて議論されてきた諸現象を一つの流れと派生として捉え直し、両領域の本質的な関係性を明らかにした。 これらの考察と知見を、2022年度は書籍としてまとめ、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
引き続きコロナ禍の影響で海外での資料調査が行えていないため、19世紀ロンドンの娯楽産業の実態に関する研究が後回しになっているが、今後は代替資料の調査も含めてこの部分についての研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は引き続き、欧米の都市娯楽産業の調査と研究を進める。劇場の娯楽文化は複数の文化ジャンルが混在し、常に変化するため、それらの実態を明らかにした上で考察して整理することが必要である。そして欧米社会の近代化と共に娯楽が果たした役割を考察し、理論化に向けた研究を行う。
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