研究課題/領域番号 |
20K02150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
荒木 康代 大阪経済法科大学, 経済学部, 非専任講師 (10580243)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 女性経営者 / 女性 / 経営 / 生活体験 / 家業 / 家族 / 中小企業 / 事業承継 / 感性 / 心性 / 事業継承 / ランプ / 家族企業 / 生活 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で取り上げるAランプ製作所が大正期に創業した当時は、すでに国内では電気照明が普及しており、石油ランプは産業用と輸出用に絞られていた。そこで初代は、輸出用に活路を見出した。輸出用需要は戦後の高度成長期まで続いたが、その後の不況により経営は行き詰った。しかし、前経営者である4代目及び5代目は事業を引き継ぐことを選択した。それは「ランプの灯を消したくない」という思いからであった。このような事業に対する思いは、どのような生活体験や家族の歴史から生まれたのか、大正期の創業以来の同社の歴史やランプの歴史をたどりながら、経営と心性、ランプから電気への生活の変化と人々の感性の変化について考察する。
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研究実績の概要 |
本研究では、家業を承継した女性経営者を対象に、どのような経緯を経て家業を継承するに至ったのかということについて、経営者自身の生活体験や家族との関係、幼少時からの環境等を通じてはぐくまれた心性や感性が事業承継の決断に大きな影響を与えたのではないか、といった観点から研究調査を実施した。具体的には、これまで大阪府下の石油ランプ製作所の女性経営者を対象に詳細な聞き取りを行い、大正期の初代による創業から現在に至るまでの同社の歴史を背景に、当該経営者の事業承継の決断に至る要因について考察・分析してきた。同時に、明治期に日本に輸入され、それ以降1960年頃まで使われてきたランプの製造企業の盛衰についても分析した。これについては、2022年11月に大阪経済法科大学「経済学論集」第45巻第1号で論文「日本におけるランプ産業の発展と変容」および2023年11月に同大学「経済学論集」第47巻第1号で論文「女性が家業を引き継ぐということ」を発表した。 さらに、家業を継承した女性への聞き取りとして、大阪のアイスキャンディー製造・販売会社、また東京の文房具・事務機器販売会社、切削工具研磨会社、歯ブラシ・介護用品製造会社の経営者4名からも話を聞いた。 ランプ製作所を含め、これまで5社の女性経営者から話を聞いてきたが、その事業承継の決断に至る経緯は様々である。ランプ製造所の場合、ランプと言う製品に対する自信と初代からの歴史に培われた思いが強く感じられたが、他の4社の場合は、承継者自身が商売が好きであり、面白いといった思いや、ビジネスで自らのキャリアを築きたい、あるいは従業員を守らなければならない等、それぞれの違いが感じられた。また、地域との関係でも違いが見られた。 今後は、さらに分析、追加の聞き取り等を通じて、研究を深化させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度から令和4年度のかけてのコロナ感染の拡大により、聞き取り調査や調査旅行が十分できず、研究に遅れが生じていたが、その期間は調査データや統計の分析に集中した。またその後、聞き取りや調査を積極的に行うことによって、研究の遅れは取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまで聞き取りをしてきた東京の3社と大阪の1社について追加の聞き取りを行って、さらに詳細に聞きとりデータの分析を行う。このことによって、より深く承継動機や経営活動との関連について知ることができると考える。また、大阪の1社と東京の1社については、地域の歴史との関連も深いと考えられることから、地域、及び地域の歴史との関連、当該企業の扱う製品の歴史的背景についても研究していきたい。そして、その結果については、学会発表及び論文発表をする予定である。
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