研究課題/領域番号 |
20K02154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
西村 純子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90350280)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 女性就業 / ワークライフバランス政策 / 労働市場 / ワークライフバランス / 就業キャリア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、出産・育児期の就業選択によって生じうる格差が、その後の就業キャリアのなかでどのように蓄積されるのか、あるいはカバーされうるのか、またそこに、日本社会の労働市場の構造変動や女性の就業を支援する社会政策の展開が、どのように関連するかを明らかにする。特に、日本の女性の出産・育児期の就業率が上昇する状況においても、就業中断が広く起こっている状況をふまえ、就業中断が再就職後の就業キャリアや賃金におよぼす中長期的インパクトについて、国際比較をおこないつつ、パネルデータをもちいて明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度に続いて1990年代から2010年代における女性の就業行動に関するデータ分析をおこなった。 日本では1990年代以降、給付資格が労働市場でのポジションと強くリンクするような社会保障システムが維持されつつ、ワークライフバランス政策の進展と労働市場の二重性の深化が同時におこった。さらに教育政策の文脈においては、1990年代後半以降、子育ての第一義的な責任を家族/親に求めるような家族主義的な傾向を強めているという指摘もある。こうした背景をふまえて、本研究では1990年代以降、女性の離職や転職の傾向にどのような変化がみられたかについて、データ分析をおこなった。25-45歳の女性を対象に分析をおこなった結果、次のような知見を得た。第一に、1993-2004年に比べて2010-2017年においては正規雇用者にのみ離職が起こりにくくなっていることが確認された。このことは、1990年代以降のワークライフバランス政策の進展によって女性の就業が促進されたものの、その恩恵を被ることができたのは正規雇用者であり、非正規雇用者にはそのような恩恵が行き渡っていないことを示唆する。第二に、末子が0-6歳の時期の幼い子どもを育てる女性において、近年ほど離職が起こりにくくなっているとはいえなかった。これは近年のワークライフバランス政策の進展によって育児休業取得や短時間勤務が可能になった一方で、その利用者の多くは女性であり、女性の子育て責任が軽減されたわけではないこと、それが依然として幼い子どもを育てる女性の就業を難しくしていることを示唆する。第三に1990年代以降、正規雇用者のほうが非正規雇用者よりも転職が起こりにくい傾向には変化がなかった。このことは25-45歳の女性においては、転職は比較的地位が不安定な人びとに起こりやすいイベントであり続けていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
女性の就業行動にかんするデータ分析をすすめるとともに、中断・再就職後の正規雇用獲得、再就職後の賃金にかんしてもデータ分析にも着手することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
出産・育児を経験した女性の就業中断・再就職後の正規雇用獲得、再就職後の賃金にかんしてもデータ分析をすすめ、成果を公表する。
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