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郊外団地における外国人住民の社会統合についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02158
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08010:社会学関連
研究機関横浜市立大学

研究代表者

坪谷 美欧子  横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 教授 (80363795)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード国際社会学 / 国際移民 / 郊外団地 / 公営住宅 / コロナ禍 / 多文化共生 / 社会学 / 定住外国人 / 統合 / 在日外国人 / 移民 / 団地 / 郊外
研究開始時の研究の概要

本研究の対象地域は神奈川県内最大の公営住宅もあることから、1980年代からインドシナ難民受け入れを契機として、中国残留孤児の帰国者や南米日系人などの多くの外国籍住民が集住しており、団地内の外国人入居率は2割を超えている。こうした背景から、「多文化共生」政策や取り組みにおいて「先進的」と捉えられてきた行政や学校が、複数関与する地域でもある。他方、高齢化する日本人住民と地域の衰退を背景に、外国人と福祉対象者が集中する「スティグマ化」が進んだ地域との指摘もある。本研究ではまず外国人住民に対する受け入れの論理を明らかにした上で、外国人住民の編入状況の分析を通して、移民の社会統合の諸条件を導き出す。

研究実績の概要

今年度は、外国人住民に対する自治や町内会などの受け入れの論理をめぐる温度差や矛盾を明らかにした上で、外国人住民の編入状況の分析を通して、移民の社会統合の諸条件を導き出すことを目指した。
2022年~2024年に実施した神奈川県営団地周辺における団地自治会会長、事務局員、学校教員へのインタビューを分析し、このX団地が決して偶然に「国際団地」「多文化団地」になったのではないこと、多国籍の人々が住めば「多文化共生」になるのかといえば、そうではないことを明らかにした。1970年代後半からグローバリゼーションのなかで日本が「国際人権への義務を負う国」へと大きく舵を切った方向転換(宮島2022: 30)による、インドシナ難民という「フロントドア」で入ってきた人たちが、まず住宅政策という社会保障領域に包摂された。かれらは県西部の製造業や軽工業を中心に労働領域においても包摂されることとなったが、それはあくまでも技術が求められない非熟練の分野に限定されていた。一方で、かれらの団地での生活は、子どもの教育、団地の自治への関与を通した社会参加、定住とトランスナショナルの共存、高齢化へという道筋を辿ってきたことを指摘した。
一方で、この団地では、日本人の高齢化に歯止めがかからず、60歳台の外国人住民であっても「若い」住民とみなされ、自治会活動に期待が寄せられる事例を報告した。また、自治会長や役員たちから、自治会活動の担い手と「期待」される外国人住民は収入も多くなると、団地の外に家を購入し団地から出て行く傾向もあり、団地の多文化共生の担い手についても課題があることがわかった。自治会側も、自治会の活動に外国人が参加することの重要性を認識しているものの、実際にはそのような活動は少ないことが浮き彫りになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は国内の調査においては、文献収集や、本研究対象地域における自治会関係者・学校関係者へのインタビューやフィールドワークを問題なく実施することができた。
それらの結果をまとめて、横浜市立大学学術研究会および横浜学術教育振興財団の出版助成を受け、単著『外国人住民が団地に住み続ける意味―神奈川県X団地のビフォア/アフターコロナ』春風社 を出版することができた。

今後の研究の推進方策

2024年度は、外国人集住団地における「多文化共生」に向けた課題と考えられる、担い手およびポストコロナの課題について検討していく。高齢者外国人住民、中国人帰国者専門の介護施設、団地内で活動するNPOへのインタビュー、コロナ禍で信仰活動が活発になっているベトナム、カンボジア、ラオス系の寺院、南米系教会など宗教機関への調査も計画している。
また、「国際団地」があることにより、団地内だけでなく団地周辺で育った日本人の若者へ与える影響も小さくないことも明らかになっており、団地周辺に住んでいたり団地内の小中学校に通った経験を持っていたりする日本人の若者へのインタビューも実施予定である。
以上のデータにもとづき、論文執筆や出版を予定している。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] 北京工業大学(中国)

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] コロナ禍における外国人住民の「移動できないこと」の意味 ――集住地域在住の中高年ニューカマー外国人のライフストーリー分析から――2023

    • 著者名/発表者名
      坪谷美欧子
    • 雑誌名

      海外移住資料館研究紀要

      巻: 17 ページ: 1-18

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] コロナ禍における外国人住民の移動/非移動性と共助――神奈川県の集住地域における支援団体の事例から――2022

    • 著者名/発表者名
      坪谷美欧子
    • 雑誌名

      異文化間教育

      巻: 56 ページ: 15-31

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] “Incorporation” of Foreign Residents Mediated by X Housing Complex: Based on Life Story Analysis of What It Means to Continue to Live in a Housing Complex2022

    • 著者名/発表者名
      Tsuboya, Mioko
    • 雑誌名

      横浜市立大学論叢人文

      巻: 73(2-3)

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] アクティブラーニングを通した社会学教育 ――外国につながる子どもたちへの支援についてのアクションリサーチを通して2021

    • 著者名/発表者名
      坪谷美欧子
    • 雑誌名

      横浜市立大学論叢人文

      巻: 72

    • NAID

      40022744863

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 外国につながる高校生の学校適応の研究 (2)日本および母国の家庭的要因と学校適応過程2022

    • 著者名/発表者名
      坪谷美欧子
    • 学会等名
      異文化間関係学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 外国人住民が団地に住み続ける意味―神奈川県X団地のビフォア/アフターコロナ2024

    • 著者名/発表者名
      坪谷美欧子
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      4861109620
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 郊外団地における外国人住民の社会的統合 ーー神奈川県X団地にみる「多文化共生」の現在2020

    • 著者名/発表者名
      坪谷美欧子
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      学術研究出版
    • ISBN
      9784910415017
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] JICA緒方貞子平和開発研究所「コロナ禍が外国人集住地域にもたらした変化とは?」

    • URL

      https://www.jica.go.jp/jica-ri/ja/news/topics/20220315_02.html

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] JICA緒方貞子平和開発研究所「コロナ禍が外国人集住地域にもたらした変化とは?」

    • URL

      https://www.jica.go.jp/jica-ri/news/topics/20220315_02.html

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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