研究課題/領域番号 |
20K02219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 雅穂 中央大学, 経済研究所, 客員研究員 (30548160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 障害者雇用 / ダイバーシティ&インクルージョン / 専門的人材育成 / 企業の社会的責任 / 経営倫理 / CSR / 人材育成 / ダイバーシティ&インクルージョン(D&I) / CSR(企業の社会的責任) / ダイバーシティ&インクルージョン(D&I) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、企業が求める障害者雇用の専門的人材について、障害者を企業及び日本のD&I施策全体に統合し、他の多様性と対等な従業員として企業及び日本社会全体に包摂できる人材育成の方策を①企業の自助努力で可能なレベルと、②専門的な政策・制度の創設が必要なレベルで明らかにすることである。 初年度は国内外の文献研究、事例研究に加え、より的確な実態把握が可能な調査票作成のための予備調査として、数社の企業へインタビュー調査を行う。それを踏まえ、次年度に大企業、特例子会社とその親会社に調査票調査とインタビュー調査を行う。そして障害者雇用の専門的人材育成の方策を、前述のレベル毎に峻別にして明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、前年度に実施した調査を踏まえ、企業のD&I施策への障害者のインクルージョンの実態について日本および海外の先行研究のレビューを中心に行った。その研究成果として次の英語論文(査読付)を出版した。Yamada, Miho. (2024). Human Rights-Based CSR as the Driver for Disability Inclusion in Business: Based on the Employment of Persons with Disabilities and Diversity and Inclusion (D&I) in Japanese Corporations. Journal of Japan Society for Business Ethics, 31, 251-263. 本研究のテーマに関する動向については、研究開始時点と変わらず申請者の研究を除いて国内外共に見当たらないことがわかった。また障害者雇用、D&I、CSRを含めた経営倫理、福祉政策を横断する学際的研究調査も、申請者の研究以外に見当たらないことも改めて確認した。申請者の研究が改めて必要であることがわかった。 上述の論文では、日本も海外も研究および実践の両レベルで障害者がD&Iの議論から取り残され、障害者も合理的配慮により重要な戦力になる実態が十分理解されていないことを明らかにした。その理由として(1)CSRは本業を通じて戦略的に果たすという本質的理解ではなく、ビジネスと切り離された任意の社会貢献であるとの理解が根強いこと、(2)ゆえに障害者雇用も、本業ではなく任意の課題で実践しないでもよいとの認識が根深いことを指摘した。結論では企業の実践に資する方策として、人権をベースにしたDisability-Inclusive Model of CSRを提言した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のように、令和5年度は企業のD&I施策への障害者のインクルージョンの実態について日本および海外の先行研究のレビューを中心に行い、英語論文を出版することを大きな目標の1つに設定した。この英語論文の執筆と、英文校正業者による英文チェックおよび査読(海外ジャーナルに投稿する前に、プロの査読経験者からのレビューと修正アドバイスを受ける)に予想以上の時間がかかった。またコロナ禍の影響もあり、令和4年度に実施した調査に協力いただいた企業へのインタビュー調査が実施できなかった。よって主目的は達成できたものの、調査全体の分析をまとめることができなかったため、若干遅れている。この遅れは令和6年度に十分解消できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述した令和5年度の研究成果を踏まえたうえで、令和4年度に実施した調査を補う企業へのインタビュー調査を行う。また、令和4年度調査では「一般従業員と障害者の専門スタッフのお互いの専門知識やスキル等についての理解度」に関する項目で、筆者の仮説を裏付ける結果も出た一方で、一部で筆者の仮説に反した結果が出た。したがってこの項目の詳細な分析と同時に、調査に協力いただいた複数の特例子会社と親会社にインタビュー調査を行い、この点の要因も含めてさらに研究を深める。 その上で、今後の研究では「ビジネスと福祉のそれぞれの専門性とは何か」の詳細をさらに明らかにした上で、障害者雇用において両者に通じる専門的人材育成を可能とする制度(企業内外ともに)を具体的に提言することを目指す。
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