研究課題/領域番号 |
20K02220
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金子 絵里乃 日本大学, 文理学部, 教授 (40409339)
|
研究分担者 |
佐藤 繭美 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (90407057)
澤田 有希子 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (60425098)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | グリーフケア / 緩和ケア / ソーシャルワーカー / 医療ソーシャルワーカー / ソーシャルワーク / MAXQDA / 質的研究分析 / 新型コロナウィルス / がん患者 / 家族 / がん患者の家族 |
研究開始時の研究の概要 |
グリーフケアとは、たいせつな人と死別した人へのケアと認識されている。しかし、研究代表者はグリーフケア研究を行う中で、病気で患者と死別した家族の場合、患者の闘病中から家族へグリーフケアすることが必要であることを認識した。なぜなら、家族は患者が生きている時から悲しみや不安などのグリーフを抱えることが多く、患者が亡くなった後に生きていく家族の人生を見据え、患者の生前から援助することが欠かせないからである。本研究では、終末期から死別後にいたる援助をグリーフケアと位置づけ、医療機関のソーシャルワーカーによるがん患者の家族へのグリーフケアについて考究し、その実践と必要とされる教育・研修について検討する。
|
研究実績の概要 |
対面およびzoomを用いて、共同研究会を毎月実施し、がんの患者さんとご家族への支援のあり方について、医療ソーシャルワーカー20名のデータを分析している最中である。共同研究会では、データの分析・精査を行い、医療ソーシャルワーカーの役割を主としたテーマで分析することを決定した。さらに、さまざまな質的研究のデータ分析法を検討・吟味した結果、本研究ではMAXQDAという新たな分析方法が適していると判断し、MAXQDAを活用し、質的テキスト分析を進めている。 MAXQDAを選出した理由としては、データと分析結果を同時に一覧できること、データ収集とデータ分析を有機的に連携できること、ソフトを活用することによって、質的研究の弱点をカバーし、データを深く広く分析できること、コード分析の図解ツールを援用することができ、MAXQDAには複数の図解を用いることができ、データを視覚的に、かつ、再文脈化することができるなどが挙げられる。 研究者各自がデータを分析し、共同研究会を実施し、そのデータを共有しつつ、チーム作業を行っている。各自のデータ分析においては、20名のデータを役割分担し、各自、6名から7名のインタビュー記録を読み、重要なコードを抽出し、コード間の共通性を導き出し、コード名をつけて、各々が作成したコードを共有し、コード間の関連性を検討している。MAXQDAは、データ分析ツールではあるが、データを自動化したプログラムではないため、インタビュー記録を繰り返し読み、データと向き合い、手作業でデータ分析を続けている。現在のところ、MAXQDAを用いてデータを分析した結果、①医療ソーシャルワーカーの仕事上の困難さ、②家族支援の新たな形(コロナ禍における)、③がん患者さんへの支援と医療ソーシャルワーカーの気持ちの折り合いなど、のカテゴリーが抽出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①医療機関のソーシャルワーカーが、がん患者の家族に対してどのようなグリーフケアを行っているか、②がん患者の家族に対するグリーフケアとして、医療機関のソーシャルワーカーが担う必要があると考えている援助とは何か、③医療機関のソーシャルワーカーが、グリーフケアに関してどのような教育や研修を受けているのか、また、どのような教育や研修を求めているか、という3つの学術的な問いを設定した。 これまでの経緯として、2022年度は、インタビュー調査と調査で得られたデータを分析し、その結果について学会発表を行った。データ収集は、半構造化インタビュー法に基づき、がん患者と家族の支援をしているMSWに対して90分程度のインタビューを行った。データ分析は事例分析を行い、事例を検討し、共通性を抽出した。データを分析した結果、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、①家族と患者の面会禁止および面会制限、②患者・家族とMSWの面談制限が生じ、がん患者とその家族へのMSWによる支援が変化していることが明らかとなった。 2023年度は、オンラインの研究会を定期的に実施し、MAXQDAを用いて、がん患者やその家族へグリーフケアを行っている医療機関のソーシャルワーカー20名に実施したインタビューデータを分析している。 コロナの影響により、当初予定していた研究のスケジュールを多少変更しているものの、以上の研究の進捗状況を鑑みて、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、オンラインの研究会を定期的に実施し、MAXQDAを用いて、がん患者やその家族へグリーフケアを行っている医療機関のソーシャルワーカー20名に実施したインタビューデータを分析してきた。2024年度は5年目であり、最終年度となるため、時間配分や優先順位などに気をつけて本研究課題を遂行していきたい。そのため、現段階の研究進行状況を整理する必要がある。研究成果として、データ分析を進め、論文執筆を進めていくことが必要である。具体的には、2023年度と同様に、研究者各自が6名から7名のインタビュー記録を読み、重要なコードを抽出し、コード間の共通性を導き出し、コード名をつけ、対面およびzoomを用いて、共同研究会を毎月実施し、研究会の中で各々が作成したコードを共有し、コード間の関連性を検討し、チーム作業を行っていく。 以上を踏まえて、査読つきの論文投稿に向けて、論文テーマを決定し、文献研究及びデータ分析を行い、論文執筆を進めていく。さらに、当初計画していた、事例集の作成に向けて、インタビュー対象者の中から、事例について詳細に語っていた医療ソーシャルワーカーを選出し、事例について再度インタビューすることも視野に入れて、語られた事例を整理していくことを目指したい。以上のプロセスにおいて、研究代表者と研究分担者が共同で取り組み、その内容を随時、研究協力者にチェックして頂き、学術的かつ実践的な研究を行うように努める。
|