研究課題/領域番号 |
20K02274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 学校法人文京学院 文京学院大学 |
研究代表者 |
山崎 幸子 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (10550840)
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研究分担者 |
岡村 毅 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (10463845)
宇良 千秋 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60415495)
新名 正弥 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 准教授 (70312288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 8050問題 / 中高年ひきこもり / 高齢者 / TEM / 家族機能 / 社会的孤立 |
研究開始時の研究の概要 |
「8050問題」では、ひきこもり者自身の要因に加え、高齢である親側にも問題があり、その特有の関わりなどが本人のひきこもり状態を維持させていると想定される。そこで本研究では、中高年ひきこもりの親を調査対象として、親の援助要請行動や本人に対する日頃の関わり等を明らかにし、得られた結果から親に対する支援策を検討する。 研究1は、地域高齢者を対象とし中高年ひきこもりの親のの機能や本人のひきこもりのタイプを把握する。研究2は、中高年ひきこもりの親に対する面接調査から親への支援ポイントを抽出する。研究3は、相談援助職者や中高年ひきこもりの親を対象に、試作したガイドラインを検証し、支援策を提言する。
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研究実績の概要 |
2022年度に中高年ひきこもり者に対しインタビュー調査した内容を用いて,ひきこもり状態から再び社会とつながるまでの過程を明らかにするための分析を実施した。対象者は中高年ひきこもり経験者3名(男性2名,女性1名)であった。ひきこもり期間は9年から27年間であった。各調査対象者には,1回90分程度の半構造化面接を2回ずつ実施した。調査内容は,ひきこもりのきっかけやひきこもり中の生活,支援機関につながった経緯などを尋ねた。分析には複線径路等至性モデル(TEM)を用いた。 分析の結果,対人不安がひきこもり生活に影響し,社会規範や家から外に出したい親の意向を受けつつも,外に出られない葛藤が認められた。この長いひきこもり生活において再び社会とつながるための意識の変容には,自分や親に対する老いへの気づきや自覚そのものが,長いひきこもり生活にピリオドを打つきっかけになりうることが示された。したがって,中高年ひきこもりの支援においては,当事者がこのような気づきを得た機会を取りこぼすことなく,スムーズに支援が行えるよう,継続した関係を持ち続けることが重要である。また,再び社会とつながった後も,就労意欲が高い場合は,長いひきこもり生活による体力の低下などを配慮した短い時間で体験できる就労から始められるような取り組みの提案等が功を奏する可能性があることを見出された。以上より,得られた成果は,若年層のひきこもりとはその事由が異なること,また,長いひきこもり生活にピリオドを打つその要因として,当事者の「老い」が,意識変容のきっかけになりうることが明らかとなり,老いを活用した支援内容を検討することが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19による感染対策の影響を受け,当初予定していた研究フィールドである自治体の協力を仰ぐことが困難であり,中高年ひきこもり者を同定するための量的調査が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた自治体ではなく,調査会社等の協力を経て,量的調査を完遂し,潜在的な中高年ひきこもり問題の要因を明らかにする。
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