研究課題/領域番号 |
20K02280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
椿田 貴史 名古屋商科大学, 経営学部, 教授 (50350997)
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研究分担者 |
嶋崎 和代 名古屋女子大学, 健康科学部, 准教授 (70611424)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 技能実習生 / 日本独自のケア文化 / compassionate care / 介護現場リテラシー / 外国人技能実習生 / 日本的な気配り / 日本のケアにおける思いやり / 介護リテラシー / 介護 / 福祉 / 高齢者 / 対人ケアにおけるリテラシー / 外国人介護技能実習生 / 就労適応 |
研究開始時の研究の概要 |
「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法」施行とともに、技能実習の対象職種に介護が追加された。介護実践にあたっては、日本語によるコミュニケーション能力だけでなく、保健医療福祉に関する知識、要介護者の生活や文化的背景の理解と観察力、対象にふさわしい介護を行う判断力、実践力などが求められる。特に、介護現場で無意識に前提とされてきた日本特有の考え方や価値観は、言語化して伝えることが困難であり、外国人の介護技能実習生を指導する際の課題となることが考えられる。本研究は日本における保健医療福祉、介護の考え方や価値観を項目にまとめ、理解度を測定する介護リテラシー尺度を開発する。
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研究実績の概要 |
1)インタビュー調査の結果を踏まえて「日本的な思いやり」という概念が提示された。医療福祉現場において「思いやり」は英語でcompassionに相当するが、この概念に関する文献検討を行った。特に、00年代後半からcompassionを主題とした一次研究やナラティブ・レビューが増えているが、本邦では調査研究や文献検討は少ない。英語で発表された論文について、概念の構成や類似概念との異同、臨床現場での処遇に現れる具体的な言動、コンパッションを高めるための学生やスタッフ教育、測定ツール、compassion概念に対する批判等を中心にまとめを行った。compassionの内実は、インタビューにおいて提示された「日本特有のcompassion」とそれほど変わらないと考えられたが、具体的な行動レベルや態度に落とし込んで、測定までを扱う研究姿勢が、欧米においては日本よりも強いように思われた。思いやりを具体化して考えることに対する文化差について考察がなされた。この成果は第42回日本看護科学学会学術集会において発表した。 2)当初の目的であった介護リテラシーは、「介護現場リテラシー・チェックリスト」として作成した。a)介護職員としての自覚・心構えとして「タイムマネジメント」「利用者に対する敬意」「思いやりの気持ち」「感謝の気持ち」「サービス精神」、b)他のスタッフとの協働として「相談をする」「相談できるスタッフとの人間関係の構築」「協力する」「支えあう」「記録・申し送り」、c)利用者の状態理解として「認知症の状態像理解」「対象者の主体性尊重」「残存能力の把握」「様々な病気の理解」「コミュニケーション」、d)介護技術として「ボディメカニクスの理解」「安全配慮」「衛生配慮」「専門用語の読み書き」「季節対応」「文化理解」等のカテゴリが抽出され、具体的な内実を項目化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
愛知県内の高齢者福祉施設において実習生として業務に携わる外国人技能実習生に対しては、母国語で記載されたアンケート調査を実施した。 また、同じ現場で技能実習生の指導にあたる日本人のスタッフに対して、インタビュー調査を行い、介護現場において必要と考えられるリテラシー項目作成のための情報収集を実施することができた。 インタビュー調査内で提示されたキーワードに対して文献検討をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では、以下の3点について研究を進める。 1)コンパッション概念に対する文献検討 2022年度においては、英語で発表された医療現場のcompassionを主題とする研究に関して総合的な考察を行った。今年度は日本におけるコンパッションについて、文献検討を行う。医療福祉系の論文にはコンパッションを主題とした論文は少ないため、対象とする概念と分野を広げ、医療現場以外の文化的活動領域における思いやり・思いやり行動に着目し、そこから医療福祉におけるコンパッションを考察する。
2)介護現場リテラシーチェックリストの項目化と項目の批判的検討 現在作成中のチェックリストを専門家に提示して検討を行う。簡易的なデルファイ法を用いる予定である。
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