研究課題/領域番号 |
20K02291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐々木 綾子 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (20720030)
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研究分担者 |
大野 聖良 神戸大学, 国際文化学研究科, RPD研究員 (20725915)
島崎 裕子 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授(任期付) (90570086)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 国際移動 / 国際福祉 / 非正規滞在者 / 支援活動 / 国際社会福祉 / 人身取引 / 移民 / 難民 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、これまで別々に捉えられてきた 「移民」「難民」「人身取引」という区分を「国際移動」という大きな枠組みで捉え直し、そのうち「人身取引」(搾取の目的で暴力や詐欺などの手段を用いて人を獲得、輸送、収受し、売春や労働 などを強要する行為)の被害者および認定の難しい「グレーゾーン」に陥る人々への支援の在り方を明らかにすることを目的とする。国家に基づく「社会福祉」と途上国を対象とした 「国際開発」の枠組みをつなぎ、市民社会や国際機関との連携を含め、国境を越えた「人身取引」に対応しうる国際社会福祉の理論と実践枠組みを提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は、これまで別々に捉えられてきた 「移民」「難民」「人身取引」という、いわゆる受入国家の側から定義される区分を、「国際移動」という大きな枠組みで捉え直し、移動する側に焦点をあてることで、「移動」が当事者、送り出し国、受入国にもたらす意味を明らかにする。特に、「人身取引」の被害者とされる人々、および被害者認定の難しい「グレーゾーン」に陥る人々への支援の在り方を明らかにし、「国民国家」の枠組みに基づく「社会福祉」と「国際開発」をつなぎ、市民社会や国際機関との連携を含め、国境を越えた「人身取引」に対応しうる国際社会福祉の理論と実践枠組みを提示することを最終目的とする。「人身取引」を犯罪と捉えた場合に目的とされる①「搾取」という事象の背景にある構造やプロセスに着目し、②支援の場面において類似性をもつ「難民」及び「非正規滞在者」との接合点において人身取引被害者支援の在り方を模索する。2022年度は、2021年度に引き続き①に着目しつつ、②については、送出国と受入国での被害者支援の在り方において議論すべき相違点について考察を深めた。また、代表が参画する千葉大学の研究プロジェクト、分担研究者として取り組む介護領域における移民のキャリアと生活に関する研究との協働での調査研究を行った。移民コミュニティ、地域コミュニティとのつながり方や当事者が活用できる社会資源の在り様が「被害者」のその後を左右するが、性的搾取を伴った被害の場合には「安全な帰国」を支援したとしても、ジェンダー規範が強く影響する出身地域では「懲罰的暴力」に再びさらされる可能性が高く、再度被害にあいやすい。当事者自身もとらわれている「ジェンダー規範」や「文化規範」の解釈を変えていくこと、再解釈することをサポートしうる支援が重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンボジアにおける調査、および国内調査を実施し、おおむね順調に進展している。2022年5月末には学会報告も実施した。現在、報告をもとにした研究論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続き分担者間で分担箇所に関する研究を各自進めつつ、それをお互いに報告する機会として3回程度の研究会を予定している。年度末までには各担当の所属する学会において、さらなる発表を実施する予定である。カナダについてはオンラインでの研究会開催および実際の渡航も予定している。日本国内においては、引き続き関係者への調査をすすめる。「人身取引」と「現代奴隷制」を等閑視することの弊害や、「グレーゾーン」に陥る人々が、「人身取引被害者支援」としてパッケージ化され、名付けられた支援から排除されつつも、地域社会やトランスナショナルなつながりのなかから得られる「支援」をどのように活用し、自らのエンパワーメントをすすめ主体的な暮らしを展開していくのかを描けるよう研究を継続していく予定である。
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