研究課題/領域番号 |
20K02305
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
小原 眞知子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (50330791)
|
研究分担者 |
佐藤 幹代 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (00328163)
廣瀬 圭子 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 准教授 (90573155)
原田 和宏 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80449892)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 慢性疼痛患者 / 支援モデル構築 / 学際的アプローチ / 慢性疼痛 / ソーシャルワーク / ライフリテラシ― / ロジックモデル / プログラム開発 / リテラシー / プログラム評価 / 社会生活機能 / 慢性の痛み / ライフリテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、慢性疼痛を抱える患者自身が生活課題に対応できる情報、スキル、そして自信を持ち、自らの痛みとそれに関連した生活課題に対応できるライフリテラシーを用いたソーシャルワークのプログラム開発を行う。以下の成果が得らえると期待できる。 1.慢性疼痛患者のリテラシーを向上させることにより、自らのライフプロモーションにつながると考えられる。 2.妥当性の高いライフリテラシーを用いたプログラムを活用した実践は、ソーシャルワークの成果レベルの保証につながる。 3.慢性疼痛患者の生活の質を維持・向上とエンパワメントなど医療の質的担保に寄与するだけでなく、国民医療費の抑制にもつながる可能性を秘めている。
|
研究実績の概要 |
今回の研究では、看護の領域からは長期的に療養を要する人の看護は、当事者*の理解とそれに基づく看護実践が求められることから、臨床実践の経験を積むことで、当事者とその家族の「語り」からどのような看護課題があるのか吟味し、そこから具体的な看護支援方法を思考する力を生かせる教育プログラムを検討した。さらに、理学療法の領域からは、スポーツ関連外傷である足関節外側捻挫(LAS)と特に中学生のバスケットボール選手にLASの効果的な予防戦略を開発することを目的に、中学生年代を対象とした調査から得られたLASの発症と関連性のある機能的因子により,今後中学生バスケットボール選手を対象とした前向きコホート研究を行った。社会福祉の領域からは、ソーシャルワークのアセスメントの視点のまとめ、さらに疼痛患者の支援に当たるソーシャルワーカーのマネジメントに影響を与えるメンタルヘルスを促進できる戦略的介入としてストレスやバーンアウトを予防するためのセルフケアプログラムの検討を行った。 以上のように、分担研究者がそれぞれの領域から当事者主体の研究、ならびに専門職としての支援や治療の検討をした。看護学からは当事者の語りから教育プログラムを検討した。理学療法学からは、中学生を対象にした慢LASの予防的介入に関する知見を提示できた。また、社会福祉学からはソーシャルワーク支援に関連した多面的なスキルやセルフケアを検討した。それぞれ、学会発表や論文として公表している。痛みにより生活構築に向けた様々な意思決定が求められる時期や家族関係の調整のニーズも顕在化する場合や、身体機能の低下や障害を抱え、役割変更を余儀なくされた患者自身の病状や障害の受けとめや家族の認識が、変化する身体的痛み、心理的状況に対して、MSWや看護師、理学療法士などがチーム支援を実施することで患者自身が自分らしい生活へと適応できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、慢性疼痛を抱える患者自身が生活課題に対応できる情報、スキル、そして自信を持ち、自らの痛みとそれに関連した生活課題に対応できるライフリテラシーを用いたソーシャルワークのプログラム開発を行う。以下の成果が得らえると期待できる。 第1に、慢性疼痛患者のリテラシーを向上させることにより、自らのライフプロモーションにつながると考えられる。第2に、妥当性の高いライフリテラシーを用いたプログラムを活用した実践は、ソーシャルワークの成果レベルの保証につながる。第3に、慢性疼痛患者の生活の質を維持・向上とエンパワメントなど医療の質的担保に寄与するだけでなく、国民医療費の抑制にもつながる可能性を秘めている。 2023年度は学際的な知見の整理し、対応を検討した。各領域からの専門的検討を行い、多領域からのモデル構築に貢献できた。予定していた医療ソーシャルワーカーや専門職への無作為調査、ならびに協力できる患者200名を対象対象者としてアンケート調査を行う予定であった。インパクト理論の検証と、医療ソーシャルワーカーの支援内容を分析し、ロジックモデルを作成し、プログラムを策定することを目指すことであったが、対応が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を活用し、研究枠組みとしてバイオサイコソーシャルモデルを援用し、生物的な側面として、疾病による身体的苦痛、連動して生じる人間関係、家族、経済的、学業や仕事などの社会的側面、さらに、それらに関連した心理的なストレスなどを整理し、自分らしい生き方として、痛みと向き合う、痛みと共に生きる知恵など、ヘルスリテラシーに関連するモデルを提示する。本研究のロジックモデルの精査とインパクト理論の妥当性の検討を行い最終報告書をまとめる。調査1では、医療ソーシャルワーカーを対象に、慢性疼痛患者の提供されるべき知識、情報、サポートなどの支援の実態を把握するためにインタビュー調査と量的調査を行う。調査2では、慢性疼痛患者に提供すべき知識、情報、サポートなどの支援の実握するために当事者に対して量的調査を行う。 調査1では、医療ソーシャルワーカーに対する調査方法は、先行研究とインタビュー調査の結果分析をもとに質問用紙を作成し、郵送法によるアンケート調査(無記名自記式質問紙調査)を行う。調査2では、慢性疼痛患者に対して、Webを通してアンケート調査を行うこととする。これらからニーズをまとめる。 結果の活用:両調査共に、適当な統計的手法を用いて、探索的分析を行い、プロセス評価とアウトカム評価項目、インパクト理論の妥当性を検証する。これらの調査から、慢性の痛みを抱えて生活する患者の意思決定のためのインパクト理論の検証と、医療ソーシャルワーカーの支援内容を分析でき、ロジックモデルを作成し、プログラムを策定する。さらに、学会発表を行い、普及に努める。
|