研究課題/領域番号 |
20K02315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
清水 弥生 神戸女子大学, 健康福祉学部, 教授 (80280030)
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研究分担者 |
水上 然 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (70620748)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 外国人介護労働者 / 認知症ケア / ケアの質 / スウェーデンの外国人介護労働者 / 介護教育・研修 / 介護技能実習生 / 特定技能(介護) / EPA介護福祉士候補生 / 介護職員研修 / EPA介護士 / 外国人労働者 / 介護労働者 / EPA / 技能実習生 |
研究開始時の研究の概要 |
日本において外国人介護労働の導入が本格化しつつある。EPA(経済連携協定)による介護福祉士候補と比べ、「介護」技能実習生に求められる基準は低く事前研修も少ない。認知症ケアにおいては様々なニーズを理解する高い専門性をもった職員の養成が喫緊の課題である。多くの移民を受け入れたスウェーデンでは、介護職員の研修、アクティベーター(余暇活動支援専門職)などを適宜取り入れて生活支援を行っている。本研究は、日本でEPA介護士を受け入れた施設の実情および技能実習生受入の現状を分析することで、様々な背景をもった介護労働者が、認知症のある人へのケアを提供するためにどのようなシステムが必要かを検討する。
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研究実績の概要 |
高齢者福祉・介護現場では、さまざまな在留資格の外国人介護労働者が働いている。介護現場で優れた認知症ケアを行うためには、多様で十分な教育・研修の積み重ねが必要であるが、在留資格によって求められる教育の内容は異なり、職場内教育(OJT)に委ねられる部分も大きい。また、施設の取り組みによる差が大きいことも指摘されている。 本研究は、国内のこれまでの外国人介護労働者の受け入れに伴う様々な制度や政策および介護労働の現状、研修およびケアの質を分析し、海外事例から取り組むべき課題や先進例を抽出して、認知症ケアに必要な外国人労働者との協働のためのシステムを探求する。特に認知症ケアに対応するために、どのようなケア環境や教育、支援を提供すればよいか、介護職員と施設管理者双方の視点で焦点化する。 研究期間の1.2年目(2020、2021年度)は、新型コロナによって職員へのインタビューは少数に留まった。3年目(2022年度)にようやく多くの施設で可能となり、介護老人福祉施設を対象に研究課題①-2である「外国人介護労働者からみた課題、介護施設・日本人介護労働者からみた課題、双方の視点からみた認知症ケアを行う上での課題を抽出する」ための定性的調査を実施した。また、ドイツでの状況を調査するため介護労働者とその管理者に対してZoomを使用したインタビュー調査を実施し、その調査結果を紀要論文にまとめた。 4年目(2023年度)は、スウェーデンの4自治体で、同じインタビューガイドを用いて調査を行い、管理者に対する調査結果を紀要論文にまとめた。また、質問紙調査「外国人介護職員によるケアを支援するための現況調査」を実施した。内容は、外国人介護職員の採用状況、採用に必要な方策、施策等についてで、調査方法は郵送法による自記式質問紙調査、調査対象は兵庫県内の介護老人福祉施設・介護老人保健施設である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の1、2年目(2020、2021年度)はちょうど日本が新型コロナによるパンデミックに襲われた年であった。これにより高齢者福祉施設は外部の人との接触を制限することになり、残念ながら職員へのインタビューは少数に留まった。Zoomを利用した調査も行ったが、可能な限り施設や外国人職員への実地による面接調査を優先した。3年目である2022年度になってようやく多くの施設で調査可能となり、介護老人福祉施設を対象に定性的調査を実施した。 面接調査を当初より遅れて3年目に実施したことから、調査期間を1年ずつ2回延長し、2023年に質問紙調査「外国人介護職員によるケアを支援するための現況調査」を行った。内容は、外国人介護職員の採用状況、採用に必要な方策、施策等についてである。調査方法は郵送法による自記式質問紙調査、調査対象は兵庫県内の介護老人福祉施設315施設・介護老人保健施設125施設、調査期間は、2023年8月8日~8月31日である。結果、170施設より回答を得た。また、海外事例の収集のためカールスタード大学教員の協力を得て、スウェーデンの4自治体で外国人介護職員とその上司であるマネージャー計13名にインタビュー調査を行うことができた。 最終年となる2024年には質問紙調査の結果および面接調査の結果の総合的な分析、学会等での報告や、研究成果のまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年はこれまでに行ってきた調査結果を分析する。日本の調査結果について外国人介護労働者の入職前後に必要な資格やその後の研修、その費用、認知症ケアを行う上での法律や体制等について明らかにする。管理職の側から見た、外国人介護労働者の行う認知症ケアの質の評価や必要な教育・研修体制、施設側の求める支援などを総合的に評価する。 昨年行った質問紙調査「外国人介護職員によるケアを支援するための現況調査」の分析も進め、兵庫県における現状把握と外国人介護労働者の認知症ケア支援体制について把握を試みる。海外事例の分析も既に一部進めている。 以上から、高齢者福祉施設で質の高い認知症ケアを行うために外国人介護労働者とどのような協働モデルを構築すればよいかについて研究者間で議論を行っていく。これに関しては論文化し、2024年度末には学会発表か論文投稿を行う予定である。
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