研究課題/領域番号 |
20K02325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
山本 達朗 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90379389)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大腸水素 / うつ病 / 脳 / 炎症 / IL-6 / ミクログリア / 脳内炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
研究目的は、『「腸内細菌叢が食物繊維を基質として生成する水素は、うつ病などに見られる脳内ミクログリアの活性を軽減する」という仮説を証明し、腸内発酵を活性化させる食物の摂取によって社会的ストレスなどに起因する精神疾患の治療や発症予防に貢献する研究を行うこと』である。その端緒として本申請課題では、うつ病のモデルマウスとして心理社会ストレスモデルマウスを作出し、食物繊維としてフラクトオリゴ糖を摂取した状態のマウスの行動パターンの変化について分析を行い、さらに脳内ミクログリアの形態的な変化や脳内炎症性サイトカインの発現量などについて詳細な分析を行う。
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研究成果の概要 |
難消化性糖質を摂取することによって生成される大腸水素が、うつモデル動物において生じている酸化ストレスに起因する脳の炎症を軽減し、モデル動物の社会性行動や情動性に影響を与えるのか検討を行った。その結果、高架式十字路試験を用いて行われた情動性の分析では、大腸水素の影響は認められなかった。しかし、社会的相互作用試験で抽出された脆弱個体を用いた検討では、脆弱個体の社会性スコアは大腸水素生成量に相関して改善され、炎症性サイトカインである血漿中IL-6濃度も大腸水素生成量に対して負の相関を示した。これらの結果は、大腸水素がうつ症状改善に寄与することを示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年行われているうつ病に関する研究は、モデルマウスを用いて薬を投与することによって脳内の炎症抑制に関する研究やそれにと伴う行動学的変化に関する研究が主体である。しかし、本研究成果は、日常生活の行動に含まれる食事により得られる大腸水素が、IL-6の減少やうつ様行動の軽減に寄与していることか示されおり、今後のうつ病発症・予防の研究において1つの方向性を示すものと考える。このような研究の継続的な実施は、必ずうつ病の発症抑制、またうつ病患者のQOL向上に寄与できるものと考えられ、栄養学的側面から新しい神経科学の基盤を構築し、栄養学の発展に大きく貢献できると考える。
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