研究課題/領域番号 |
20K02331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
丸田 直美 共立女子大学, 家政学部, 教授 (70183621)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ボディ / 中年女性 / 体型分類 / 三次元計測 / 実物ボディ / 3Dバーチャルボディ / 三次元人体計測 |
研究開始時の研究の概要 |
中年女性の3Dバーチャルボディを作成するために行ったこれまでの体型研究データを生かして、アパレル設計及び学校教育等に役立つ中年女性用実物ボディ(人台)を開発し、アパレル業界に消費者のためのより良い服作りを提案していくことを目的とする。 まず三次元計測によって中年女性の体型分析を行う。すでに計測済みのデータに加えて、追加計測を行い、体型分類等を行う。次にボディ制作のためのゆとり量の検討を行う。これらの研究を統合して、最終的に中年女性向け実物ボディの制作を行う。ボディの形状については、メーカーと相談の上で決定する。最後にそのボディを用いて衣服制作を行い、ボディの評価を行う。
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研究実績の概要 |
中年女性の3Dバーチャルボディ開発のために行ってきたこれまでの体型研究データを生かして、アパレル設計及び学校教育等に役立つ中年女性用実物ボディを開発することを主な研究目的とした。 2020年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、追加での三次元計測が実施できず、測定済みの計測データを用いて分析を行った。体幹形状での主成分分析とクラスター分析の結果、大きく4つの体型に分類できた。これより、中年女性として平均的な体型を考えるのではなく、若者に近い体型と中年らしい周径が大きい体型で別々に検討する必要があることが示唆された。 2021年度は4つのタイプの体型を詳細に検討した。まず、若者に近い体型群の検討を行うため、9ARの同サイズの若年と中年を比較し、形状差を検討した。その結果、同一サイズであっても、両者は同じ形状ではなく、細部に違った特徴を持っていることが分かった。これは、若年用原型を使用して中年用の衣服設計をすると、着用に不具合が生じることを意味しており、中年女性向けボディ及び衣服設計の必要性を再認識する結果となった。 2022年度は、まず実物ボディ作成のためのボディ形状の検討を行った。体幹形状と上半身、下半身それぞれで体型分類を行った結果、同一被験者で分析をしているにもかかわらず、相同モデル形状が異なると主成分因子も、クラスター分析結果として出てくる体型分類の形状も異なり、相同モデルの形状を限定していくと、その部分の要因が明確に導き出されることがわかった。検討の結果、実物ボディとしては体幹形状がよいと結論づけ、2タイプの体幹形状を発泡スチロールで形成し、ボディメーカーと打ち合わせを行った。リアルな体幹形状では衣服設計が難しいというボディメーカー側の経験値を参考に衣服設計がしやすいボディに向けて、体表面の凸凹を平滑化する作業を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に、若年女性との全身平均形状での比較、中年女性の主成分分析、クラスター分析を経て、体型分類等を行い、中年女性の体型は大きく4つの体型群に分類することができたが、中年女性の体型は非常に個人差が大きく、1つの体型に絞ってボディを開発することの難しさに直面した。 そこで、2021年度はボディの開発において当初の計画にはなかった、アパレルにおいてサイズの基準とされる9ARサイズを取り上げ、 9ARサイズの若年女性と中年女性の体型とパターンを比較した。その結果、サイズは同じでも形状に違いがある部位がみられ、若年女性のパターンをそのまま中年女性に使用することの不都合さを明らかにした。 そのため、2021年度には実物制作するボディのタイプを選択できず、2022年度に持ち越すこととなった。 2022年度は、実物ボディタイプの選定を行い、ボディ制作を行うこととした。しかし、2021年度に上半身形状の相同モデル分析を行ったため、下半身相同モデルについても分析の必要性を感じ、体幹形状に加えて上半身、下半身別々の相同モデルによる体型分類を行った。それによって、相同モデルの形状が異なることで表出する因子の違いも検討することができた。そして、実物ボディとしては体幹形状がよいと結論づけ、2タイプの体幹形状を発泡スチロールで形成し、ボディメーカーと打ち合わせに入った。ボディメーカーの経験値を参考に衣服制作がしやすいボディに向けて、体表面の凸凹を平滑化する作業をするのであるが、ボディメーカーからの提案、研究者側の希望を打ち合わせですり合わせ、試作された形状で実際にシーチングを使って衣服制作を行い、そのボディ形状でよいかどうかの確認をしなければならず、思った以上に時間を必要としている。現在2度目の確認中で、最終合意の後に実物ボディ制作をお願いする予定である。そこで、研究の1年延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
一年延長した最終年であるため、本研究の目的である中年女性の実物ボディ制作を行う。すでに実物ボディを制作する体幹形状でのボディ(若者に近い体型と、体幹部の周径が大きい中年によく見られる体型の計2体)を決定し、3D形状を発砲スチロールで試作した。実際の体型形状が必ずしも衣服設計しやすい形状とは限らない、というボディメーカーの提案を受けて、現在若者に近い体型のボディについて、体表の細かい凸凹等を平滑化する作業を継続している。ボディメーカーからの提案、研究者側の希望を打ち合わせですり合わせ、試作された形状で実際にシーチングを使って衣服制作を行い、そのボディ形状でよいかどうかの確認作業も行うため予想以上に時間を必要としているが、年度前半でこの体型のボディを完成させ、体幹部の周径が大きい中年によく見られる体型のボディをもう一体追加で制作したいと考えている。ボディ制作後はそのボディを用いて衣服制作を行い、そのボディの検証を行う予定である。
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