研究課題/領域番号 |
20K02335
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 神戸女子大学 (2021-2022) 武庫川女子大学 (2020) |
研究代表者 |
橋本 多美子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (60248325)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 野菜 / 麻痺性貝毒 / 除毒 / 二枚貝 / 除毒調理 |
研究開始時の研究の概要 |
麻痺性貝毒は有毒渦鞭毛藻により産生され二枚貝に蓄積し、それにより毒化した貝を人が誤食することで起こる食中毒である。研究代表者はこれまで除毒調理法の開発を行ってきたが、その中で毒を増減させる食材が存在する可能性が示された。そこで、本研究では麻痺性貝毒の除毒を指標とした野菜の新規機能性の検索を行うとともに、危険な食べ合わせを示す野菜の存在について検討する。すなわち、麻痺性貝毒の分解能を持つ野菜と危険になる野菜のスクリーニングを行い、有用な成分の特定とともに安全な調理法を確認する。
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研究実績の概要 |
毒化二枚貝(PSP)に野菜の抽出液を添加し、37℃で反応させた場合や野菜を生で添加した条件下で、一部の野菜において毒量が減少することが明らかとなった。そのため、野菜に含有される酵素や特有の成分が毒の分解等に関わっている可能性が示唆された。令和4年度は、pHや酸化還元電位を測定し、毒量との相関を調べた。さらに、減毒効果が高い野菜類に含まれる成分を毒化貝に添加し、減毒効果を検討した。 28種の野菜を磨砕したものを試料とし、酸化還元電位およびpHの測定を行った。野菜28種のpHは4.4~6.8と弱酸性の範囲で、毒量および毒力ともにpHとの相関は認められなかった。また、ORP値は-60~300mvとなり、還元力が強いものと弱いものに分けられた。ORP値の高低が毒化二枚貝の毒量あるいは毒力の減少に影響している傾向はみられなかった。 さらに、毒化二枚貝(PSP)の減毒効果を示した野菜の特有の成分(ポリフェノールおよび硫化物)を毒化二枚貝に1:1の割合で添加し、37℃で30分間反応させ、麻痺性貝毒検査法に準じて抽出した溶液をHPLC分析に供した。毒化二枚貝のpHは5.9で、野菜の特有成分を添加した場合のpHは5.7~6.1となり、添加物の影響はなかった。一方、使用した毒化二枚貝の毒力は、90±18.4MU/gであった。ポリフェノール添加で64±28.3MU/gになり、硫化物の添加により40±17.8 MU/gまで低下した。PSP組成では、ポリフェノールまたは硫化物を添加した試料において、ゴ二オトキシン(GTX)1と4の割合が低下し、ゴ二オトキシン(GTX)2と3の増加が認められた。 以上より、野菜そのものでは減毒効果が高いが、野菜の含有成分であるポリフェノールや硫化物において減毒は認められたものの、毒力として50%程度の減少にとどまったことから、単独の成分で減毒するのではなく、複数の成分が関わり毒の分解等が生じている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
麻痺性貝毒で毒化した二枚貝の減毒の要因を調べることを目的として野菜の酸化還元電位を測定したが、毒量と関係を明らかにすることができなかった。さらに、減毒効果の高い野菜の特有成分を毒化二枚貝に添加し、減毒効果を調べたが、毒量の低下がみられるものの減毒には他の要素も影響していることが示された。令和4年度では、有効成分の同定を行うことができなかった。そこで、引き続き野菜の特有成分や酵素の添加実験、調理条件を検討することで減毒に影響する要因を特定する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
毒量を減少させる野菜に含まれる成分の一部について、毒量の減少が認められたが、複数の成分や条件が関わり毒量が減少すると考えられた。そこで、減毒効果の高い野菜に含有される成分、さらに酵素添加実験を行い、減毒の要因を調べる予定である。
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