研究課題/領域番号 |
20K02337
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 公益財団法人大原記念労働科学研究所 |
研究代表者 |
松田 文子 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (40399340)
|
研究分担者 |
池上 徹 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (60726123)
山村 昌代 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 協力研究員 (80726109)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 安全 / 健康 / 衛生 / 若年者 / 大学生 / 労働災害防止計画 / 教育支援 / 安全健康教育 / 第13次防 / カリキュラム / 教育手法 / 生活場面 / 危険感受性 |
研究開始時の研究の概要 |
若年者の労働災害が頻発傾向にある。厚生労働省の第13次労働災害防止計画の重点項目の1つに、従来「高校、大学等と連携した安全衛生教育の実施」が打ち出された。就業後に、労働災害に遭わないためには、学生時代までの「生活場面」で培う安全衛生の知識や経験の幅が重要であるとの認識に基づく行政方針であろう。本研究では、「企業」「学校教育現場」「安全衛生関係の有識者」の三者の想いが良好に連携する枠組みを構築し、企業にとっても有益な学生向けの安全衛生教育の手法を確立し、教育現場においても運用可能なプログラムについて、実践的に検証する。加えて、その教育効果の検証方法の在り方についても開発する。
|
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目的は、社会環境が各種の危険要素を除去し、衛生環境を充実させる方向で進んだ一方で、弱体化する傾向にある就業前の学生らの安全衛生(健康)意識を向上させるため、「企業」「学校教育現場」「安全衛生関係の有識者」が連携する枠組みを用いて、実践的な効果検証も含めた、学生向けの安全衛生教育の手法を確立し、円滑に生活場面から就業場面への橋渡しをすることである。具体的には、学生を対象とした安全衛生教育プログラムを構築、実践していく。 2022年度は、2021年度に行ったシラバス調査(国内の大学において、どのような学部でどのようなカリキュラムが課せられているのか、そのカリキュラム科目の中で安全衛生(健康)に関連する講義内容がどの程度か把握するために、全大学を対象としたシラバスの調査分析)の結果について、分析を進め、その内容を日本人間工学会にて発表した。また、教員へのヒアリングについて情報を整理し、2023年度に学会発表を予定している。 COVID-19の影響を踏まえ、本研究の安全衛生教育プログラムの作成方針について、その方法やツールについても検討を重ねた。2021年度はオンライン教育が様々なリスクを減らすツールとして機能する場面が急激に増えてきたことから、オンラインを主体にハイブリッドも視野に入れた形での実施を想定していたが、2022年度に入り、教育現場でも対面主体の教育に切り替えが進み、再び、対面実施を選択肢として入れる方向で再検討を行った。 本研究の着想にも関連する労働災害防止計画も、2022年度末に第14次防(2023年度からの5年間)が発表された。そこで、第13次防からの変更点についても、研究者間で確認を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実践面のツールの展開において、オンライン、ハイブリッド、対面と、複数の試行パターンを検討する必要があり、それぞれの効果検証のための試行実験参加者の確保など、全体的にやや実施への準備を整える作業に遅れが出たが、概ね問題は解決している。 提示課題とするツールでは、安全や衛生(健康)に関わる複数の事項から想起される最悪状態の結果を仮想シナリオとしてランダムに提示する仕組みを開発し、その問題提起をきっかけとして、課題解決を諮るグループワーキングにより、リスク評価・危険予知・予防対策などを立案することを求める。事項としての情報の整理は進んでいるものの、オンライン、ハイブリッド、対面に応じた提示の仕方とグループワーキングの進行、サポート管理などの面で、各種コミュニケーションツールの潤滑な活用な手順にまだ検討の余地が残されている。2023年の試行によりその解決に向けた取り組みを進展させたい。
|
今後の研究の推進方策 |
学生を対象とした安全衛生教育プログラムを構築、実践していく。プログラムを構成する主たるツールのコンテンツを具体化することにより、実際に学生を対象とした試行を重ねる。 方法として、オンライン、ハイブリッド、対面を想定したものとして実施する。対面の場合は、カードゲーム様の情報カードによる安全衛生に関わる事故要因の情報提示、オンラインの場合はデジタルコンテンツとして簡易プログラムによる情報提示により、それぞれの情報伝達法による理解や進行度の違いについて検討する。ハイブリッドの場合は、それぞれ同じ情報提示の条件下で、対面実施とオンライン実施との差異について確認する。 一連のツール試行後は、それらの実践を通じて、安全衛生教育プログラムの精度を上げていく。日常生活に身近で単純な安全衛生(健康)に関わる情報群の場合と、ある種の業界や職種条件に限定した情報群の場合の構成上の違いなど、就業後に求められる社会人的安全衛生(健康)の概念にまで拡大できる内容に発展させることを目指したい。
|